5/27(日) ICU OFF-SIDES

reported by 山田

ついに開幕した第27回東京都女子サッカーリーグ3部リーグ。昨年度の入替戦による2部昇格のチャンスを逃したU−18にとって、待ちに待った開幕戦である。初戦第1節はI.C.U OFF−SIDESとのゲーム。4部リーグから昇格を果たした勢いを持つチームとの対戦となった。

我々の目標はただ一つ。2部リーグ昇格以外に何も望むものは無い。毎年その可能性を持ちながらも、取りこぼしによって2年連続で涙を呑んできたが、もはや同じ結果は許されない。オフシーズンからそのことを踏まえて活動を行ってきた。短い取り組み期間ではあったが、新チームの意識やトレーニング内容をこれまでより一層強化してスフィーダサッカーを根本から徹底することに重点を置いてきた。新チームにはすでに関東大会まで駒を進めたUー15選手権メンバー数名と昨年度のU−18所属の若い選手たちの顔ぶれとなる。昨年度よりパワー面では劣るが、テクニックと成長の可能性を存分に持つメンバーには雪辱を果たす期待が大きい。

試合前、選手たちには初戦の重要性や自分たちが目指すべき道、あくまで攻撃的に行う術を確認し話した。なぜ今再びこのリーグに居るのか、何がマズかったのか・・・。相手云々ではなく、自分たちへの挑戦であることを伝えた。まずまずの緊張感の下で自主的にミーティングも行い、攻撃の時間帯を長く保つことを念頭において送り出した。

試合開始、まずは様子見というリズムで攻撃を展開するも、すぐに相手の勢いが見て取れるようになる。思っていた形で前線まで運べず、それが徐々にパスミスという結果で相手を乗せ、守備的な展開を余儀なくされていく。スタートの段階で相手の勢いによって主導権を握られることはよくあるが、見る限りこの時点で失点をするような危機感は一切感じなかった。多くの対戦チーム同様ロングボール一辺倒のサッカーで、スペースを与えない限り危険はないと判断できた。流れが落ち着き、今度は我々がポゼッションする時間帯となる。トレーニング通りの意識もあり、呼び込む動きやコミュニケーションもあるのだが、質が低い上に何かが足りない。パス、コントロール、サポートのいずれも精度に欠け、決定的な一本が出ない。個人技においてはそれ自体を発揮する選手が少なく、ひどく消極的な印象で強引に奪われてしまう。何よりも迫力に欠けイージーミスが目に付くことが多かった。我々が攻撃に転じ、前線へ運ぶ最中にタイミング悪く奪われ、一気にカウンターを受けるため、中盤の組織は無視され、準備不足のDFまで放り込まれてしまう。フィードは全て弾き返され、文字通り押し込まれる・引き戻される時間帯が続く。予想以上にボールを保持できず、あまりのサッカースタイルの違いに戸惑いが見え始めると、選手たちはポジショニングを見失い、守備の崩壊が始まった。そうした中前半終了前に中央30M程のFKを与え、嫌な予感どおりに先制点を許してしまう。ここから5分程度の終了まではシステムを守備的にし、相手の追撃に耐える形でハーフタイムを迎える。

帰ってきた選手たちに何がいけないのかを尋ねたが、打開策は出てこなかった。この30分の中で一切自分たちのサッカーは出せずにいて、相手のストロング・ウィークポイントがまだ把握できていなかった。これも若い選手の経験不足だと感じ、まず相手の中央のラインの高さと頑強さを認めさせた。2点目にウィークポイントはサイドであり、サイドからの崩しや裏のスペースを利用した攻撃を指示し、もう一つは守備面のポジショニングを修正し、送り出した。

後半、システムを戻し、フォアチェックを強化することにより前半よりも安易に弾き返せるようになる。ここで初めて中盤がボールを保持でき、サイドを中心に仕掛けていくが、肝心の繋ぎの精度が上がらない。展開は5分5分まで引き上げたが、お互いに決定的なチャンスには至らず時間と体力の消耗だけが進行していく。45分に新たな選手を投入するが、その選手がすぐに負傷退場してしまう。残り時間と体力を考慮して中盤に人数を掛けた編成にし、1点を取るサッカーに転じたが、守備陣の連携ミスにより痛恨の2失点目を決められてしまう。すでに時間も少なく、ロングボール主体に切り替えるが本来のスタイルではないため、焼け石に水である。

結果0−2という極めて最悪のシーズンスタートとなってしまった。完全に自らミスを生み、相手のサッカーに呑まれた60分に終わった。シュート数も相手が大きく上回り、2失点に関してもミスが重なったものではあるが、内容を見れば必然的なスコアである。相手は終止自分たちのサッカーを貫き、我々がそれに屈し崩壊したといってよい。そして1敗を喫したことと再び取りこぼしをした事実が残った。過去の3部リーグのデータからすると、昇格のボーダーラインは勝点21である。とはいえ、リーグは何があるか予測できないものである。したがって我々の残された可能性は8連勝を狙うしか方法が無い。1節目にしてすでに危機的状況に立ってしまったのである。

しかし悪いことだけでなく、この試合で個人の見極めがついたこと、成長した選手・3部のサッカーを知った選手もいる。また、改めて日々のトレーニングに対する意識や必要性、考える力の重要性を身に染みて理解できたことは次節に向けて大きな意味を持つことになるだろう。選手一人ひとりの自覚と意識がカギを握ることは避けようの無い事実である。練習と試合は一体であり、良くも悪くも結果に繋がる。敗戦によってそれを学ぶことは選手の成長において大事なことであるが、3部リーグに関しては厳しい現実である。今後も必ず苦しい試合が訪れるであろうが、それを打開できる技術と思考力を養うことに時間を費やしていかなければならない。我慢がいる作業だが年代的な育成と確実な勝利の両面を選手共に追い求めていきたいと思う。

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