9/23(土) F.C.SFIDA世田谷U-15A

reported by 山田

第3回東京都ガールズ(U-15)サッカー大会、決勝トーナメント2回戦。今大会3年連続となるスフィーダ対決であった。また本年2月に行われたU−14研修大会決勝以来、2度目の対決でもある。Aチームは翌週に迫る関東大会へリストアップされている6名の主要選手達を抜く構成。ただ、Aチームということに違いは無く、技術力で勝負すれば勝てないことは明らかだった。ただ、それでも6名抜ければ全く別のチームになる。本来の力を出し切ることは不可能だと予想していた。
我々Bチームは予選より接戦を制して勝ちあがってきた。それ故に選手個々の成長が顕著に表れ、次第にチームとしてのまとまりや連携も向上している。この大会に全てを懸けられる選手たちにとって、迷いはなかった。
試合前、ミーティングでは基本的な守備をどこまで徹底し、セカンドボールを拾うかということをポイントに挙げた。同じサッカーを目指す両チームに現時点で存在するのは、個人の技術力、戦術理解度、身体能力の差だと見ていた。よって、まともな状態で1対1の状況を作ることは懸命ではない。体力が続く限り徹底して人数を掛けた守備を行わない限り、チャンスは生み出せないと選手に伝えた。また、これらを踏まえた上で、何のためにこの大会に懸けるのかを再確認し試合に臨んだ。
試合開始直後、早速ゴールへと迫られるが、なんとか逃れる。格上を相手にした通常の心理であれば、ここから一気にペースを握られてもおかしくないが、攻撃陣の積極的な仕掛けや抜け出しが悪い流れを断ち切った。選手個々にとってファーストプレーが成功するか失敗するかには大きな差がある。我々にとっては予想以上に前者が多く、結果チームで戦うことに成功した。お互いチャンスを得ながらもフィニッシュに精度を欠き、無得点のまま攻防が続く。ワイドに繋ぎ、流動的に流れるような攻撃を仕掛ける相手。バーに救われたりセットプレーでも決定的な場面をつくられた。そこまでの展開には至らなかったが、シンプルに繋ぎ、早い段階でスペースを利用することで我々も少ないゴールへの可能性を感じた。
そんな中、相手ゴール付近へ迫ると副審が何らかのファールを激しくアピール。それに足を止める相手に対し、そのままゴールまで行き着いてしまう。会場がどよめき、主審が下したジャッジは『ゴール』。その場で何が起きたかは私も把握仕切れなかったが、主審のシグナルがあるまでプレーを続けた選手たちは正しい。前半終了前のことだった。
ハーフタイム、思わぬ形で先制をしたものの、後半だけでスコアを返される危機感は拭えなかった。あくまで前半の守備が攻撃を生み出しており、自分たちの形でゴールすることが必要だったからである。ここで気を緩めれば大差で試合を決められてしまう。最後まで我慢することを伝え後半へと繋いだ。
後半開始。やはり相手はしっかりとゲームを組み立ててきた。自分たちのサッカーを立て直し、連動性と個人の技術、判断力に我々の勢いは受身へと変わっていった。前半よりもさらに決定的ピンチは増え、何度もDFラインを突破されるが、シュート精度やGKの好判断により難を逃れる。お互いの運動量が落ちるにつれて激しい攻防から少しずつポゼッションゲームに流れが変わる。しかし我々にはメンバー変更とともに前半と同じサッカーでチャンスを伺うしかなかった。選手数があったとはいえ、総合力の差がそこにはあった。劣勢に立たされたまま我慢を続けてきたが、後半終了前にとうとう失点を許してしまう。残り時間や延長などを考えると誰もが『このままAが・・・』という想像をしたと思う。だが、ここまで1−0で耐えてきたことが選手にとって大事な評価であり、精神的な強さを現していた。ここから試合は再び激しい攻防戦となった。すると終了間際、スローインからゴール前まで迫り、1度はシュートミスをするが最後に詰めていた選手が勝ち越し弾を放つ。この直後に試合終了。
大方の予想を覆し、2−1で初のBチーム勝利を飾った。今回のBチームの立場から言えば、完全育成のチーム編成で選手個々の能力や目標を最大限引き伸ばし、成功に近づける役目がある。大会前の評価で今Bチームにいる選手がそれぞれの立場を逆転するためには、やはりこの大会しかない。そういったことが選手たちのモチベーションになり、大健闘を果たしたことに心から賞賛したいと思う。私もよく『サッカーは何が起こるかわからない』と言うが、選手も含め大変貴重な経験を得た。なかなか得られない初めての経験をした選手たちはこれから様々な場面で自分の支えになると思う。今日の経験を今後の目標に反映させ、それぞれのカテゴリーに受け継いでもらいたいと願いたい。
ただ、本音を言えば本当に心苦しい試合であった。同じサッカーを目指し、日頃の努力も知った選手同士で歓喜と涙に分かれるのは複雑である。しかし同門対決だからこそ、自分たちが勝てば相手がどの様な気持ちになるか、どの様な振る舞いが必要か、思いを受け継いで次の勝利に向かうという姿勢が学べたのではないかと思う。また、同じ組織の試合に会場提供を含めあれだけのチーム・大人が運営にあたってくれたという事も感じなければならない。
様々なことを学んだ上で、誇りと自信を持って次に繋げて貰いたいと思う。

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