7/23(日) 欅SC

reported by 山田

現東京都女子サッカーリーグ3部リーグ第4節。相手は欅スポーツクラブ女子サッカー部。相手は今年3部リーグに昇格を果たし、前節では大学チームに大勝するなど現在波に乗っているチームである。また、過去U−18としては4部リーグや練習試合等で馴染みがあり、同年代の選手層であることがお互いのモチベーションにもなっていた。戦歴もほぼ五分であったため、力比べには申し分ない相手であった。
この日は中学リーグ側の協力により、北中を提供して頂いたことで中学リーグと3部リーグの共催という形で行われた。梅雨のすっきりしない曇り空に加えて、息苦しい程の暑さが試合を左右する天候であった。
この一戦には不安要素がいくつか発生していた。その大きな要因のひとつがメインコーチ不在であった。そのため私とU−15担当の楠本で試合を進めることとなった。試合前、ミーティングでは戦術的な話をしたものの、最終的に一大テーマとなったのは積極的にコミュニケーションをとることとなった。不安要素を払拭するためにも自分たちでゲームをつくることが必須である状況にあったからである。
前半開始、序盤こそ我々のサッカーを駆使して相手ゴールへと迫る形を感じさせるが、一発で弾き返されることで流れは掴めずにいた。悪い立ち上がりではなかったが、狭いピッチでポゼッションを行う難しさが自分たちのサッカーを見失う原因となってしまった。一方、相手は一発で攻守を逆転し、両サイドアタッカーとFWの縦の突破を基本として次第にチャンスを増やしていった。サイドもセンターもないような密集の中で、ダイレクト・2タッチプレーでプレッシャーをかわすテクニックに欠けた状況ではハーフウェラインまでしかボールを運べず、落ち着かない展開から選手同士の声も消え、完全に放り込み合いの試合となった。ピッチ状況を考えれば間違った選択ではない。しかし狙いのない放り込みであること、落下地点が読めずセカンドボールをほとんど拾われる以上は相手のサッカーに呑まれたといってよかった。
その結果、15分にDFのクリアミスを拾われそのまま失点を許してしまう。それからは後手後手の対応ながらもなんとかしのぎ、ハーフタイムへ。
選手たちは明らかに蒸し暑さと疲労に駆られた状態で帰ってきた。しかしそれは予め分かっていたことで、言い訳にならないとチームで理解していたことでもあった。それを理解したからこそコミュニケーションが必要で、気持ちで乗り切るゲームにしなければならなかった。ここでの指示は戦術的なことは一切せず、自分たちが置かれた状況で何をしなければならないのかを伝えた。
後半、選手交代を行い新たに出直そうというところでいきなり失点を重ねることとなる。交代したばかりのサイドを崩され対応の遅れたGKとの1対1を難なく決められる。2点差とはいえ、極めてタイミングの悪い失点であった。前半の内容を強く意識することと2点差になったことで選手たちはポゼッションに片寄った判断をし、自分たちのペースを掴もうと中盤の凌ぎ合いが続く。逆に相手は最高の形で追加点を挙げたことで一気に運動量が増し、縦へ縦へと迫ってくる。ボールを持つことに手一杯の我々とゴールに直結した相手との差は、後半10分間のシュート数(欅:7本、スフィーダ:0本)がすべてを物語っている。数字だけで見るならスフィーダのボールポゼッション率は前半よりも上がっていた。しかし勝てるサッカーをしていたのは相手である。新たな選手を投入することで少しずつリズムが生まれてきたが、またも勝敗を決める3点目を46分のCKから許してしまった。相手の勢いと我々の試合内容を象徴するかのような見事なゴールであった。残り14分で0−3のスコアはほぼ敗北を意味していたが、それでも次に繋がるプレーとメンタリティーを見せてくれたのが中学生だった。その数名の選手はこの試合のテーマを理解し、実践してくれたと思う。ミスが通常の倍近くあることや戦術眼が乏しいことは勝利には結びつかないが、これからの成長を考えれば同じ展開にはならないと確信を得ることができた。
結果、0−3のまま試合終了。リーグ初黒星を喫した。今回の試合は非常に難しいものだった。内容的には敗戦は必然的であったが、力負けをしたわけではない。少なくとも選手は精一杯走った。体力・技術が低下していることも理解していた。選手のアドバンテージは把握していたのだが、この試合のみのコーチングに選手とマッチしない点があったように思う。これまでU−18をサポートしてきたが、当日での指揮官交代によりベストなタイミングでベストなコーチングができなかったことも否めない。サッカーは外からのコーチングで全ての勝敗が決まることはないが、選手個々の能力を存分に発揮してあげられなかった部分で責任はあったと振り返っている。改めて多くを学んだ試合であった。
また一方でチーム全体の課題と選手個々の問題点が明らかになった敗戦でもあった。これは試合後のミーティングでまとまった事であるが、仮にこの試合に勝利していたら浮き彫りにならなかったと考えられる。ここまでの3部リーグを勝利してきたことで良しとしてきたことが次第にチームを崩す要因になっていたと、今回の敗戦で気付くことが出来た。痛手を負った再出発ではあるが、この敗戦を機にチームを作り直す時が来たと実感している。これが成功すれば次節から結果を残せるはずである。

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