8/20(水) 神村学園中等部 ●1-3(1-2、0-1)

reported by 川邊健一

全国大会も佳境を迎え、本日の結果次第で帰京、又は引き続き残るということになる。相手は無配のチャンピオン神村学園、歴史を変える為にも、スフィーダが決勝トーナメントに残るためにも勝たなければいけない試合。負けは無論のこと、引き分けすら許されない試合であるが、元々神村学園と同グループだと分かった時点から神村学園には勝つつもりで準備してきた。それだけに現実的に負けられないこの一戦が楽しみで、不思議と緊張感はなかった。

選手達も試合前からリラックスしている表情で、スタッフも何とか通常の力を発揮させられるように入れ込むことなく普段と同じように試合の準備をすることが出来た。しかし、キックオフと同時に選手達には異変が起きた。極度の緊張感から数名の選手達は明らかに見えない相手と闘っており、11対11の勝負のはずが、12人にも13人にも見えているかのようだった。冷静に闘い、戦術的に戦えている選手の反面、特にユースの選手達はこうした緊迫感が最高潮に至るゲームへの闘いへの慣れがなく、明らかに冷静さを欠いていた。これもサッカー選手としてどれだけ修羅場を掻い潜ってきたか?という経験なので、素晴らしい経験になったことと思うが、選手達のメンタリティーを導き切れなかったのはベンチ側の問題だと考えている。選手達を1から10までコントロールし、闘える精神状態へ導くのが良いのか?それとも己で己をコントロールし闘える精神状態を作り出すのが良いのか?それも経験と言ってしまえばそれまでだが、どちらにも良い悪いが存在し、一概にどちらが正しいというわけでもない。願わくば、後者を選択できるよな逞しい選手達に育ってもらいたいと切望しているが、それも経験あってのことであり、そういう意味でも今回の経験は選手達にとって、素晴らしいものになったのではないかと思っている。ただ、その代償として、チームが冷静さを取り戻す前に2失点した。その後、個人技で1点返すものの、個人技の単発の攻撃では相手に致命打を与えることは出来なかった。

前半は相手のストロングポイントを潰す役割の選手が、焦る選手をよそにクールに闘えていたため戦術的な機能が最低限見られた。試合前のミーティングで打ち合わせた通りに闘ってくれた部分もあった。ただ、チームとしての連動が欠け、そのしわ寄せが失点というものに結びついただけであった。

後半、ある意味、開き直り、徐々に相手を支配できるようになったが、それでも個人技などの単発の攻撃がほとんどだった。攻撃の時間も増し、ゴールに迫る回数も多いが、相手の徹底した攻撃パターンを止めきれず、更に失点…2点差となり、勝利には3点が必要になった。ただ、それでも追い詰められた時にチームとして闘えなかったのが、選抜チームの泣き所かもしれない。ただ、それは事前に分かっていたことであり、むしろ喜ばしいのは数名の選手が個の力で相手のグループに競り勝てていたところだ。チームではないにせよ、王者に対し個の力で上回ることが出来ていたのは素晴らしい。チームとしては勝てなかったが、個の能力がどのレベルに達していれば通用するのか確認することが出来た。何とか勝たせてあげたかった試合ではあるが、色々な意味で経験となり、選手達にとっては素晴らしい時間だったことは言うまでもない。

まとめとなるが、私は選手が上達すれば、それが成功であり、それが全てだと思っている。全国大会のピッチを目指しているのも選手達にとって素晴らしい経験になる可能性が高いからであり、成長のきっかけになるであろうからである。もしも、全国大会という舞台が成長に繋がらない場なのであれば、強く出場にこだわる意味もない。1つで多くの真剣勝負を、1つでも多くの経験を…それが全てである。
全国大会のメンバー入りを目指し、片やレギュラーを目指す、更には自身の活躍を誓う、など選手によって目標は異なるにせよ、何かを目指していることは力になる。ここに大人も子供も関係ない。また、大会に出場できる選手もいれば、出来ない選手もいる。経験…と言っているのに、矛盾は生じるが、全国に来たからには勝ちに行く。それも違う意味での経験の為だが、全国大会までの準備段階だけではなく、常に努力してきた選手は評価し出場させている。それが自分の基準だ。差別ではないにせよ、常にだれでも平等ということはあり得ないことであり、仮に全国大会の準備期間だけ、日頃の倍努力しようとも私はそれを深くは評価しない。これはサッカーだけに限らず、学校生活でも、何でも応用されるべき部分だ。
選手達は、この年代で完成されるわけではない。だからこそ、例え全国大会に出場できなくとも、選手がそれ以上の経験や感情を持ち帰ってくれるのであれば、それで良い。私はこの年代のサッカーはそういうものだと思っている。負け犬の遠吠えと言われてしまえばそれまでであるが、大事なことだけは見失いたくないし、ピンボケもしたくない。このポリシーだけは今後も守って行きたいと思う。育成年代の選手達を全国大会まで連れてくることは出来たが、これは経過であり、結果ではない。中学生の1つの節目としては素晴らしいことなのかもしれないが、これが成功だとも失敗だとも思わない。あくまでも経過であり、経験に過ぎない。だから、今回はベスト8という結果に終わったが、これはこれで最高の時間を過ごせた。選手達と共に勝利を目指したこと、選手達と共に学べたこと、全ての時間が貴重な体験だった。だからこそ、私はこうした舞台に連れてきてくれた選手達に感謝し、それを支えて下さったご父兄の方々に感謝したい。。。

今この場を借りて改めて御礼申し上げます。誠にありがとうございました。選手達はこの経験を無駄にせず、ご父兄の皆様方はこれからも選手達の偉大なサポーターであり続けて下さることを願ってやみません。

ありがとうございました。

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