4/19(土) NPO法人杉並FC ○12-0(5-0、7-0)
reported by 川邊 健一
待ちに待った中学生の祭典ともいえる全日本女子ユース(U-15)サッカー選手権大会が遂に開幕した。この大会は、中学生世代最大の大会であり、関東大会、全国大会へと続く日本チャンピオンを決める大会である。
その東京都予選であるが3チームのグループリーグが6つに4チームのグループリーグが1つの全22チームによって競われる。私達は昨年の本大会で優勝し、昨年度末に行われたU-14選手権(新人戦)でも優勝し、今大会でも第一シードとなることが出来た。私達は杉並FCとFC ESPERANZAと同グループに入ったが、すでに
杉並FC 0-14 FC ESPERANZA
という結果が出ていたため、このグループリーグを優勢に進めるためには15点以上の得点が必要である。しかし、試合前に選手達には『15点取ろうとか、20点取ろうということは考えないで目の前の瞬間瞬間のプレーを精一杯やろう!全力でやっていれば結果は自ずと付いてくるものだから・・・目標は先制点だ』と話し選手達をピッチに送り出した。
前半、開始から押込む展開が続くが、相手は前線からプレスをかけてくるようなスタイルではなく、引いて守るリトリートだった。スペースを埋め、ゾーンに入り込んだスフィーダの選手達を網にかけ、カウンターを狙う、というような戦術だ。相手の戦術にはまったということもあるが、それ以上に選手達の動きに切れがなく、今まで見てきたゲームの中では最もパフォーマンスレベルが低い内容だった。結果として先制点を奪うまでに10分弱の時間を要してしまった。ただ、パフォーマンスレベルの他にも相手の戦術に柔軟な対応を見せられなかったのも事実である。今大会も含め、今シーズンは極力選手達へのコーチングは控えている。結果的に前半でも声は一度もかけていない。何故なら、自分達の判断で相手を見て判断するという本質の部分を学ばせたいからである。コーチが積極的に声をかけ、選手達を動かし、鼓舞して乗らせる・・・非常に重要なことであるが、今のチームはそれを自分達で出来るのではないか?と思っている。簡単なことではないが、ゲームの中で選手達が話し合い、柔軟に相手のウィークポイントを責めていく、あるいは、ストロングポイントの芽をどう摘むのか考えていく、、、それが出来るようになれれば素晴らしいし、逆に出来なければロボットのように指示なしでは相手に対応できないプレーヤーになってしまう可能性もある。
本来であれば、もっと効果的な攻め方を試合の中で伝えられただろうが、敢えて選手達に任せてみた。結局、5点取れたが、柔軟性や考える力、実行する勇気があれば、きっともう少し得点を重ねられていたのではないかと思う。
ハーフタイムでは、前半で感じたことや修正点を伝え、どうやって試合を観察するのか?どうやって自分達でサッカーをするのか?ということを伝えた。
こうしたスペースの限られた試合ではドリブルなどの個人技でスペースを作り出すことが、今の手持ちの武器では最も効果的だと思う。もちろん長いボールなども使い分けられればもっと楽だが、トレーニングしていないことを実践させるのは危険すぎる。後半スタートの時点で5点奪えているわけだから、ここからは目標の15点を見据えた戦いをする必要がある。選手達は得点を重ね7-0まで広げることが出来たが、結果的には先制点を奪うまでに時間がかかりすぎたことで12点で打ち止めとなってしまった。
初戦を勝利で終えられたことは素直に評価したい。何故なら、この大会だけは中学生年代で唯一結果にこだわっているからだ。12点以上取れたという見方も出来るが、相手も身体を張って最後まで戦っていた素晴らしいチームであったし、現段階で全力を尽くし12点なのだから、これはこれで納得している。
とにかく今回に関しては、選手達の動きの切れに問題があった。これは日頃のフィジカルトレーニングによる疲労の蓄積が考えられる。調整ミスという部分で私が原因だと認識している。しかし、私達はこれからも1試合1試合を通じ成長しながら前進しなければならない。結果が大事であることは間違いないが、状況を見ながら、出来る限り選手達の力を上げていくことだけを考えている。だからこそ今はこれで良いと思っている。ただ、次は非常に警戒する必要がある相手になる。徐々にフィジカルコンディションを整えるためにも、次の一戦も全力で勝ちに行くためにも、フィジカルトレーニングは落として行きたいと思う。これは今回のゲームの反省を踏まえてのことではなく、事前から決まっていたことである。だからこそ、ある意味、全てが予定通りに、そして、順調に進んでいると考えて良い。
また、緊張もあってか2年生のパフォーマンスが特に低下していた。コンディションの問題よりも今大会初めての出場というプレッシャーの方が格段に強かったという印象を受けた。心身ともにベストな状態ではなかったのだろう。しかし、全ては経験がものを言う。これで次のゲームは心身ともに充実した状態で挑めるだろう。次は結果だけ見れば大一番になるが、今回とは違うゲームを展開できると信じている。きっと選手達はゲームを100%の力で戦ってくれると思う。