2/2(土) チアフル合同
reported by 川辺
決勝トーナメント1回戦は、チアフル日野、なかのSC、17多摩の3チームによる合同チームであった。
試合のテーマは無論変わらない。前回の試合から各々が何を感じ、そして、何が足りないか?そして、何が出来たのか?というものを振り返り、それを修正、向上させることだけがポイントであった。
このチームは試合毎に集まる言わば即席チームに近いものがある。日頃から共にトレーニングを一緒に行うわけではないし、コンセプトこそ変わらないものの3つのカテゴリーから集まる集合体に過ぎない。だからこそ、各々が今の自分が行わなければいけないことを考えることが必要である。試合前に今までの自分に足りないこと、もしくは更に向上させたいものを考え、自分でこの試合のテーマを決め、それがどこまで実践できるかチャレンジしてみようということで試合にお送り出した。
前半、まだまだ個々の動き出しのタイミングや意図にズレがあり過ぎ、思ったような攻撃は陰を潜めていた。むしろ、それぞれが自分のプレーを強調し過ぎていた為、流れとしては”良かった”と思えるプレーはなかった。現在、我々がチャレンジしているシステムは私が思うに世の中で一番難しいシステムだと思う。一般的には4-2-2-2と言われる選手の判断力、イメージ、運動量などサッカーに必要な様々なスキルが必要となる。何が難しいか?それは中盤の形にある。中盤がボックスと呼ばれる形を取る事で、従来サイドプレーヤーと呼ばれる選手がいないことになる。要はグラウンドの真ん中に4名の中盤の選手が集中するということだ。しかし、スフィーダの意図する攻撃はあくまでもサイド突破を主体としたフレキシブルな攻撃にある。非常に矛盾が生じるが、その矛盾の中に真の目指すサッカーが存在する。それは特定のサイドプレーヤーがいないことで、そこへディフェンス、ミッドフィルダー、フォワードがその時々の状況に応じて飛び出し、相手の予測を超える攻撃が可能となる。メリットとしては
@特定の選手だけがサイドに張り出すわけではないので相手としては非常に対応が困難になる
A特定のパターンではなく多彩な攻撃が可能となる
などが挙げられるだろう。逆にデメリットとしては
@決まりがないだけに、全員の判断力(速度、決断、実行)が必要不可欠
A戦術的知識及びサッカー人としてのサッカー知識が必要不可欠
B上記の2点を発揮できるだけの運動量が必要
などということになる。この年代としては非常に難しいものなのだ。システムは関係ない・・・私もそう思うが、このシステムだけはどうしてもそうは思えない部分もある。正直、難しい。一番簡単なのはサイドに張り出すプレーヤーを置き、シンプルにその選手達にボールを繋ぎ、集めることだと思うし、事実私達も選抜チームに関しては今まで4-3-3や3-4-3などと言ったすぐに結果の出せるシステムを採用してきた。しかし、今年のチームに関しては様々な難題を突き付けることで私達が見えない壁となり、更なる飛躍を果たさせたいと思っている。これが狙いではあるが、こうしたシステムを採用しているだけに前半のチームは中央へボールが集まり、サイドのスペースを上手く活用できないでいた。結果、強引な中央突破を繰り返しす→すぐに跳ね返される→カウンターを喰らう・・・ということの繰り返しであったように思う。もちろんカウンターを受けたのは数えるほどであったが、意図のない攻撃はピンチを招くだけということが良く理解できたのではないかと思いたい。
ハーフタイムでは、前半チームの悪かったところを後半のチームが修正してみようということで、サイドのスペースの使い方、フリーランニングの精度、サイドチェンジという3点を指摘し送り出す。
後半のチームは、目の前で前半のチームを見ていただけにイメージがあった様で前半よりは質の高いサッカーが出来ていた。サイドへ複数の選手が飛び出し、そして、絡み、時間の経過と共に右肩上がりに良くなって行った。まだまだ相手を崩しきる回数は少ないが前半よりも明らかに崩す回数が増え、意図のある攻撃が見れるようになった。得点こそ、前半2点に対し後半3点で、そこには1点差しかないが1点差以上の内容の差があったと思う。
前半と後半を見ても分かるようにスフィーダのサッカーは足し算ではない、掛け算だ。1+1+1・・・・・11名で11。これが普通の考え方だと思うが、全員の力を最大限発揮しなければ行けないサッカーを目指しているが故に0がどこかに1つでも入れば0となる。しかし、掛け算なのだから選手個々の成長で無限大に強くなる、これが私達の発想である。恐らく、誰もがチームを足し算という概念で決め付けていることがある。私もその一人だと思う。しかし、うちのサッカーはその枠組みから外れたものを目指している。だからこそ、非常に難しい。まだまだスフィーダの選手達はスフィーダのサッカーで考えれば0に近い選手が多い。これは駄目なのではなく、まだまだ成長できる年代なのであるから気にもしていないことだ。ようは何が言いたいかと言うと、それは選手一人ひとりが大事であり、選手一人ひとりの努力でチームも個人もどんどん成長するということだ。だから非常に先が楽しみだし、選手全員に期待している。
私達はまだまだ未熟なチームである。この大会も2連覇、U-15選手権も2連覇しているが、それはこのチームがではない。もちろん共に戦ったメンバーはいるが、このチームの功績でないのは明らかだ。だからこそ、私達はチャレンジャーなのである。これでベスト4に進出することは出来たが、この後どうなるかは誰も分からない。私達スタッフは選手達の壁となり、選手達の前に立ち塞がり、更には対戦相手とも戦わなければならない。非常に過酷なことであるが、それだけ選手達のことを信じているということでもある。きっとスフィーダの選手達は大人が考える枠を越え、大きな成長を果たしてくれると信じている。とにかく次の一戦も今まで通り全力を尽くして行きたいと思う。