5/5(土) 北区さくらガールズ
reported by 川辺
遂に迎えた全日本女子ユース(U-15)選手権大会東京都予選準決勝。この試合に勝てれば関東大会への切符を手に入れることが出来る。決勝トーナメントから1戦1戦のことだけを考えて直向に進んできたが、やはり、この1戦は今までのものとは訳が違う。緊張感があり、選手達もどこか高揚している感じで、私自信もこの1戦に胸が高鳴っていた。ここ数年何度も関東大会へは進出してきたが、こうしたゲームでのプレッシャーはいつになっても変わらない。恐怖心はなかったが、こうした舞台で選手達が本気で戦う姿勢が想像できる事に興奮していた。
この大事な一戦の前に選手達に伝えた一番重要なことは相手との”差”について。その差とは東京都予選を勝ち抜いたことのある経験の差であり、こうした恐怖心を伴いかねないゲームでの精神的な差である。この差は思いのほか大きなもので、こうした舞台にはこうした舞台なりの戦い方やメンタリティーが必要になってくる。スフィーダの選手達は昨年も含め幾度となくこうした試合を経験してきた。これが唯一のそして最大の強みだと考えていた。
前半、開始1分で右サイドから切り込みセンターリングを上げ、それに合わせて先制点。相手がゲームに入る前に奪えた願ってもない得点だった。そして、そのすぐ直後に抜け出しGKと1対1となるが、決めきれずに流れを完璧に引き込む事ができなかった。この抜け出しはこのゲームの運命を分けるものであり、もし、ここで得点を挙げていれば間違いなく勝負が付いた重要なシーン。この得点機を逃すと相手が徐々にゲームに入り込み幾度かのピンチを迎えることになる。その中の1プレー(フリーキック)で1失点し1-1と相手に同点弾を叩き込まれてしまった。相手も勢いを増し襲い掛かってくるためしばらく五分五分に近い展開にまで持ち込まれてしまった。特にDF陣が芝に慣れずパススピードを誤りDFラインでカットされるというミスが目に付くようになる。相手もここを狙うようになり、ピンチのほとんどはDFラインでの繋ぎを奪われて産まれてしまった。しかし、前半半ばに左サイドからのクロスで2点目を奪い、さらに同じようなクロスに対し逆サイドから走りこんだDFが綺麗なボレーシュートを決め3-1と突き放した。これで内容を読んでも勝負が付いたと言って良い点差になり選手達がようやく落ち着いて行ったが、もっと早い時間帯で勝負を決められる瞬間があったのも事実であり、こうしたチャンスを逃す事は今後のゲームでは通用しない要素だと考えられた。
ハーフタイムでは後半であと一点取れれば確実に勝負が決まるという事を話し、出来る限り早い時間帯での得点を狙うように指示した。早く勝負を確定させ、決勝に向けて戦力を温存しようと考えたためだ。本来であればゲームの途中にそのようなことを考えるのは軽率なのかもしれないが、同日に決勝が行われる事やスフィーダの選手層の厚さを考えても、それらの”次”を意識した戦い方が出来ると確信していた。
後半は勢いを増し攻め立てるが内容的には改善されなかったと言えるだろう。スフィーダの選手達はまだまだ出来るはずだし、こんなものではないのは今までのゲームからも想像できる。ただ、悪いなりにも相手が戦意喪失したこともあり、次々と得点を重ね最終的には9-1と圧倒できた。特に評価すべきは戦力を温存し、途中交代で投入した選手達が得点という結果を示してくれた事。自分の持てる限りの力を出してくれたと思うし、それぞれが自分の役割に責任を持ち積極的にプレーしていた。素晴らしい選手達であるという事は今ままでも理解していたが、それを証明し、確認できた事は良かった。内容的に途中交代選手を多く投入してからも勢いに劣りはなかったし、むしろ活性化された感じすらした。
このゲームは関東大会を懸けた一戦であり、非常に重要な意味を持つゲームだという事は誰もが理解している。だからこそ、大差のゲームとはなったが序盤は相手のプレスに苦しんだし、少なからず我々も精神的なプレッシャーはあったのも事実。簡単なミスも多かったし、流れに乗り切れなかったというのもあるが、それにしても内容的には満足感の持てるものではない。もちろん決定機の数や支配率などは圧倒しているが、点差ほどの差があったかというとそうでもない。強い相手ではあったが、それを差し引いても我々のパフォーマンスには問題があったように思う。考え方を変えれば、関東大会への出場権を得た、9-1というスコアで勝てた、ということになるのかもしれないが、私はこんなところで満足したくはない。もっと出来る選手達であると信じているからこそこんなところで満足はしないし、もっと先を見据えた、もっと高みを見た感覚で評価したい。ただ、決勝戦に進めたのは事実であり、関東大会への出場権を得たのも事実。もはや優勝し第一代表になろうが、準優勝で第二代表になろうが大差はないが、私はプライドを懸けて決勝戦も高い意識で相手に挑みたいと思う。