2/12(月) フィオーレ武蔵野FC
reported by 川邊 健一
U-14研修大会準決勝はここまで圧倒的な強さで勝ち上がってきたフィオーレ武蔵野との一戦となった。相手は典型的なキック&ラッシュを標榜するチームであり、選手個々の能力も高い。今までで一番厳しい相手であり、最高の相手だと思っていた。
このゲームで初めて個人への課題、チームへの課題というものを与えず”今までやってきたことを出す”ということだけを伝え試合に臨んだ。選手個々への課題、チームへの課題というものを1試合の中で意識し実践するということは選手・チームに制限をかけるという事であり、チームの育成に繋がっても勝利というものは遠くなる。これまではずっと”それ”をやってきたが、それらがどれだけチームへ浸透したのか確認するためにも、強いチームと闘うことでどれだけ自分達の力が伸びてきたのか確認したかった。また、決勝トーナメントに入ってから明らかに良くなかったので、ここではシンプルに『自分達の力を出していこう』と選手達を送り出した。
前半からお互いに激しい攻防の中で主導権を握ろうと闘っていた。そんな中、選手達は何かから解放されたかのように素晴らしい連携から決定機を演出して行く。2回戦でのこともあると思うが、それが改善されたというよりは単純に優勝の見える位置に到達したことで”優勝したい”と思っていたことで”勝ちたいというプレー”が出来たのだと思う。やはり、試合はこうでなくては面白くない。選手達は激しい守備から連動した複数での守備まで学んできたことを出してくれたと思う。攻撃面でも良いプレーは随所に見せていたが、私は何よりもその守備面に”勝ちたい”と思う信念を感じることが出来たことが嬉しい。前半の間に2度ゴールへ流し込んだプレーがあったが、2度ともオフサイドとなり得点に恵まれなかった。それでも綺麗なパスからFWが抜け出しスライディングで先制点を挙げ、まずまずの内容を残して前半を終えることが出来た。
選手達は連日のフィジカルトレーニング&試合で疲労困憊状態にあったが、肉体を精神が越える瞬間というものを見てみたかったし、そうしたことでそこに成長が待っているのだから更にペースを上げて攻め立てることを指示し後半のピッチに送り出した。
後半も誰一人サボらず全員で守備をし全員で攻撃に移るという姿勢を貫くことが出来た。そして、序盤にスルーパスに抜け出し難しい体勢から2点目を奪い2-0、更に3点目も難しいボレーシュートから得点し3-0と引き離したことで勝負を決定付けた。この時点で我々の勝利は99%決まっていた。が、相手は3-0としたことで明らかに落ち込んでいたのだから更にここから突き放す必要性があった。そんな中で得点を奪いきれずに逆にフリーキックから直接決められてしまったのは良いことではない。今大会もGKがいなくGKはじゃんけんで毎試合代えて闘ってきた。即席GKでは上へのフリーキックは取れるはずも無い。ある意味、最低限の失点はやむを得ないことであり、覚悟はしていたがそれが問題ではなく得点が奪えなかったことが問題だった。何故、4点目、5点目と得点を奪いきれなかったのか?そこは考える必要がある。
この試合では”守備面では泥臭く””攻撃面では美しく”という理想の部分を覗かせた試合であった。見ている観客も非常に多かったが、それらの方々は攻撃面での評価をしてくれているのかもしれない。しかし、私はこの攻撃に魅了する何かがあったかどうかは分からない。普段からプレーしているものであり、それをずっと継続させられていたとも思わない。もっと言えば普段よりも細かなミスがあったのも事実である。しかし、守備面に関しては”魂”が込められており、現段階でのパフォーマンスとしては納得出来るレベルに到達していたように思っている。もちろん現段階の話であり、今のままでは私達の目標は達成することが出来ない。ただ、攻撃面がクローズアップされるチームであっただけに今回の守備面での収穫は大きい。選手達自身も”これだけ出来るんだ”という自信を持てたと思う。そして、これがこの試合の意味だったと感じている。
こうして決勝戦へと駒を進めることが出来たが、私達の目標は優勝ではない。収穫を得ること・・・それだけが目標だ。全26チームの頂点を目指す厳しい大会であったが、それも次で終わる。決勝戦もこれまでの闘いを勝ち抜いてきたチームなだけにきっと素晴らしい経験を積ませてくれる相手だと思っている。結果よりも内容、、、それだけを意識して決勝戦も戦いたいと思う。