2/10(土) 欅SC
reported by 川邊 健一
決勝トーナメント2回戦はこれまで何度もの対戦経験のある欅SCとの一戦であった。しかし、結論から言えばこの試合がこれまでのゲームの中で最も意味を持つ試合となった。
前半、我々のキックオフから始まると北中という極めて狭いグラウンドをものともせずに繋ぎ相手に1度も触らせることなく先制点を奪った。開始20秒というあまりにも早い先制点に多少の戸惑いがあったが、相手が集中しきる前に先制点を取ることが出来たのは悪くない。これがこのチームの技術力の高さだと思う。しかし、その後はチャンスを作り、幾度となく決定機を演出するもそれらを逃し続けたことで相手コーナーキックから同点に追い付かれ、更にはその直後にDFラインのビルドアップミスからゴール前でインターセプトされ1-2となった。これは予想外の展開であり、きっと相手にとっても予想外のことだったとは思うが、あまりにもその2つのプレーで流れが変わった。ただ、それでも得点を奪えることは時間の問題であり、一時的な現象だとしか思わなかった。恐らく、私がそう思っていたということは選手達も同じなのだと思う。しかし、相手は開始20秒の失点で明らかに勢いを失っていたにも関わらず、この2得点で勢いと流れを掴み最後の最後まで私達を苦しめた。1-2から2-2、3-2とし勝負が決まったと思った瞬間にまたもやセットプレーから失点し3-3、その後、4-3と引き離しても4-4に追いつかれて延長戦へともつれ込んだ。相手の精神力、勝とうとする闘志などは素晴らしかった。私達が悪かったといえばそれで終わる話かもしれないが、それ以上に相手の屈強な精神力に感服する内容であった。そして、延長戦が始まり先制点を奪い5-4とし、これで勝負あったかと思ったが、またもやセットプレーから失点し5-5･･･ここまでもつれる内容になることはさすがに予想できなかった。
最終的にPK戦へともつれ込んだが、PKになった瞬間に勝てるような気がした。これは直感であり、これといった理由はない。強いて言うのであれば相手は我々を相手に5-5としたことで納得していたように写った。相手の追いすがる姿勢には苦しんだ。また、こうしたPK戦を経験できる機会などほとんどない。だからこそ、このPK戦での決着は本番を想定した時に重要なことだと思う。更に結果的に勝つことが出来たがこのPK戦で勝てたという経験も大きい。私は今まで何度となく苦しんできたが、PK戦を”時の運”だとは思わなくなってきた。それを感じたのは昨年のU-15選手権関東予選での敗戦から。勝ちたいと思う気持ちでだけではどうにもならず、どれだけ相手より精神面で上回れているか？というのが重要なんだと思う。強いチーム相手に同点に持ち込みPK戦を狙ったところで最終的に勝つのは色々な意味で優勢な試合をした方のような気がする。例えばPK戦を目標に闘っていたとする、その時PKにまで持ち込んだことで下手な安堵感と達成感を感じてしまうからだ。今回のゲームで相手がPK戦へ持ち込もうとしていたとは考えにくいが、それと同じような現象が今回にもあったような気がする。だから勝てたのだと思っているが、この精神状態を本番でも続けられるのか？それは正直分からない。ただ、こうしてPKという稀な機会を得て、そして、駒を進められたことは非常に大きな経験だ。
このゲームではPK戦と試合への入り方というものを学んだ。試合後選手達に聞いたことだが、この試合で負けると考えていた選手は一人もいない。全員が”負けるはずが無い”と思って試合をしていた。決して”勝ちたい”と思って闘っていたわけではない。これがこのチームの慢心だ。そして、今回はそれをまざまざと曝してしまった。5点取られたが5点を取る力があることは素晴らしい。しかし、どう考えても5失点したことが問題だと思う。それも取られ方が悪い。引き離し、同点に追いつかれるという展開が何度続いたか考えなければいけない。点を奪うことは出来るが、点を奪うごとに勝負が決まったと思い込んでいる選手が多すぎた･･･ただ、私もその一人だった。それだけに選手を攻めることは出来ない。選手と共に学んだことがあったことに感謝したい。自分達の力に過信していることはないが、油断があったことは認めなければいけない。それがこの試合で最も勉強になった事だ。そして、試合への入り方という意味でも選手達は新たな収穫を得た。この試合は接戦となり厳しいゲームであったが、調整の場でこうした重要な経験を積めたことに大きなプラス面を見出すことが出来た。素晴らしいゲームだったと振り返っている。
次は準決勝でフィオーレ武蔵野FCと闘うことになったが、これまでで一番強い相手になることは間違いなく、そうした強いチームと闘うことでまた新たな一面を見せてくれるのではないかと期待している。次もチームの良いところ、悪いところがたくさん出てくるようなゲームを期待したいと思う。