2/3(土) FC SERUM
reported by 川辺
決勝トーナメント1回戦は予選リーグに引き続き対戦経験の無いSERUMとの一戦になった。この試合に限らず、今大会は調整の大会という位置付けから相手チームに関係なく自分達のスタイルを確立することをテーマに掲げている。普段は違うカテゴリーで活動している選手達の即席チームで構成されているため、まずはコンビネーションやそれぞれの癖・プレースタイルといったものを共に理解し合うことが必要だ。もちろんカテゴリーは違えど、目指すサッカーは同じということはあるので単純な合同チームとは違うが、細かな部分を詰めていく作業には時間がかかるもの。そういった部分を丁寧に合わせて行く事が決勝トーナメントでも必要だと思っている。
開始から数分後にはCKからヘディングで先制点を奪う。基本的には相手陣地内でプレーする時間帯が8〜9割を占めるが、どこかプレーが散漫で集中力を欠いた闘い方をしてしまっていた。押し込む展開なだけにゴール前の密集地帯をこじ開けることが出来ず手詰まりになる、選手同士で無駄なパスを回し必要以上に時間をかける、など戦術的には多くの課題が見えた。しかし、今回の試合に関してはそれぞれに与えた本日のテーマやチームとしてのテーマを意識していなく、ただ何となく試合をしているだけという内容だった。ボールを奪われてもすぐに奪え返せるだけに一人ひとりが守備をサボり、チームとしての戦術をやりきろうとする姿勢は見当たらなかった。もっと言えばこのゲームの中で何かを得よう、何かをチャレンジしようといった姿勢はなかった。それもそのはずで、今回は試合の前から自分達で試合の勝敗を決めている選手が多かったように思う。散漫な集中力で試合に臨み、自分達への過信すらあった、、、私はそういう姿勢が一番許せない。平均点のオール3チームがこの状態でどうするのか?今のままで最大の目標を達成できるのか?厳しいことを言うようだが、これは自分達の成長を自ら放棄する重大な問題だ。試合は20頃から25分にかけて一気に4得点挙げ5-0というスコアで折り返したが、選手達個々の意識レベルの差や危機感の欠落に早急な修正を試みる必要性があった。
後半に入り、危機感を強めた選手達がようやく動き出す。尻を叩かれて走るようでは馬でしかないが、それでも人である以上、こうした言葉を理解し自分の判断で動かなければならない。ようやく個々の守備意識が高まり、全体としても動きが出てきたが、まだ今回の問題を理解しきれていない選手がいたのも事実。全員が危機感を高めて闘おうという姿勢を持っていたが、中には失敗を恐れミスを減らそうとプレーしていた選手もいる。私が伝えたかったのはそういうことではなく、ただ単純に1つ1つのゲームの重要性とそれに対する闘争心のことを伝えたかったけだ。毎度お馴染みだが、ミスは誰でもするものであり、ミスを恐れたプレーヤーはスペクタクルなサッカーに入れない。もちろんミスの許されない局面というものはあるが、良いことはどんどんチャレンジしてもらいたいし、失敗してもらいたい。チャレンジしてのミスなら私は褒めるし次に繋がる・・・。スポーツとはそういうものだと思っている。後半は内容的に前半より良かったものの3得点しか奪えず3-0で終えることになる。相手は高い守備意識を持ち、素早いプレスを終始連動して行い、こちらの自由を奪おうと戦っていた。一概に点差で物事とを語ることは出来ないが、この3得点という結果は私達の意識レベルの向上よりも相手の守備意識の方が高かったという意味だと思う。普通、前半で5失点していれば意識レベルは低下するものだが終始戦う姿勢を見せてくれた相手チームの方が素晴らしかったということを認めなければならない。
今回のゲームを簡潔に語れば、チームの悪い部分が顔を出してしまった、ということに他ならない。このチームにこれだけの意識レベルの低下があることを私は予測しきれていなかったし、一度も見たことがなかった。でも今ではそれが良いことなんだと思える。やはり、このチームも良くも悪くもスフィーダだ。チームを作る際には色々な問題が起き、色々な壁が立ちはだかるものだが、このチームは順調に来過ぎていた。特に大きな問題はなく、むしろ、良いところばかりが目立つ優等生チームのような感じだ。よくよく考えてみれば今回の問題はどこのチームでも起こりえることだし、実際スフィーダ内の別カテゴリーにすらよくある現象だ。それにこれを大した問題ではないと捉える人間もいれば、チームなんだから良いときもあれば悪いときもある、と見過ごしてしまうことも珍しいことではないのかもしれない。それが通常のことであり、普通のことなのかもしれないが我々の目標は普通となることで成し得られるものではなく、日本で1つしかないチームになることだ。普通のことをやっていて目標が達成できるのであれば誰もが普通を選択するだろう。しかし、普通では絶対にどうにもならないことが誰の目にも明らかなのだから、普通のことなどを考えている場合ではないと思う。そもそも普通とは何なのか?それぞれの人がそれぞれの物差しで決めれば良いことなのかもしれないが、それぞれが置かれた立場や状況により変動することも確か。そういう意味では普通を超越するということは案外難しいことなのかもしれない・・・。しかし、その普通という壁を越えなければ行く先は真っ暗なのも確かであり、必ず越えなければいけない壁なんだと感じている。良い意味で”普通では無い集団”と周囲から目されるチームになれれば、それは力を付けたという事に直結するはずだ。平均点のオール3チームがどこまで辿り着けるのか?次戦の準々決勝では違うモチベーションでのゲームを期待したいと思う。