12/17(日) FC駒沢女子U-15

reported by 川辺

中学生リーグ最終節はFC駒沢女子のU-15チームのと対戦であった。我々は前節引き分けていることからこの試合では8-0以上という結果を残さない限り優勝というタイトルを得ることが出来ない状態であった。駒沢を相手に8-0以上という結果は現実的に難しいものであり、非現実的なことかもしれない。が、だからと言って諦めることはない。可能性が1%でもあるのであれば闘うしかない、やるしかないと考えていた。
この試合は数ヶ月前から中学3年生の卒業試合と位置付けており、トップチームの中3選手含めて中3をメインで起用すると決めていた。約半年振りに再結成したU-15選抜チーム・・・あの悲劇の関東大会敗戦は今でも忘れられない。あれから半年という月日が流れたが、今の選手達がどれだけ成長したのか?確認するためには最高の相手である。前回の対戦ではFC駒沢女子を撃破したが、それは過去の話であり今はどうなのか?ということなど非常に楽しみな要素が絡み合う重要なゲームであった。
試合が始まり序盤はお互いに繋ごうとするサッカーと局面での激しさが強調されるサッカーとでチームと個人が複雑に交わりあうゲームになった。しかし、これは我々のスタイルであり、我々が優勢に試合を運んでいたことが出来る要素となった。序盤は相手の運動量も高く6:4というような戦況、そんな中、華麗に5本のワンタッチプレーで相手を崩し3列目の選手が飛び出して奪った最高のゴールが産まれた。過去にこのチームがこれほど見事なゴールを魅せたことがあったか?というほど素晴らしい連携から産まれる最高の得点だった。ここから更に支配力を増し、相手ゴールに迫っていたが、あと一歩のところで得点が奪えずにいると相手が本来のスタイル(キック&ラッシュ)のスタイルに切り替えたことで若干手間取る時間帯が増え始めた。我々はDFラインから丁寧にビルドアップしようとする反面、相手は中盤すら飛ばし蹴り込んでくるスタイルだ。相手にチャンスを与えるのは蹴りこまれた時と我々のビルドアップを途中でカットされカウンターを食らうような状態のときのみ。しかし、これがあまりにも効果的だったと認めざるを得ない。相手は前線に優れた選手達を複数配置し、スピードと個人技を交えたアタッキングサッカーを展開していた。そして、その攻撃を凌げず失点することになるが、1失点目はDFがDFラインの危険な位置で繋ごうとしたプレーをカットされやられてしまう。しかし、これは簡単にクリアーせず、何とか危険な位置からでも繋ごうと考えたプレーを褒めなければいけない。もちろんサッカー的には危険なプレーと判断されてしまうし、クリアーが簡単に出来る状態ではあったが、スフィーダのサッカーを遣り通そうとしたプレーに疑いの余地はない。そして、2失点目はセットプレーからであったが、これは角度のないコーナー付近からの得点であり相手を褒めなければいけない。2失点とも取られるべくして取られた失点だったと思っているし、これは仕方ないと感じている。何故なら諸事情により現在はGKが居ない状態だ。今回GKを担当したのは、ほとんどGKの経験のないDFの選手だったからだ。そのGKはよく戦ってくれたし、内容的にも満足している。結果的に2本の枠内シュートが2本とも決まってしまったというのは辛い出来事だとは思うが、私は悲観するようなプレーではなかったと思っている。むしろ褒め称えたいとすら思う。
ハーフタイムに入り1-2という状況はあまり思わしくなかったが、それでも相手の得点は崩されたものではなく、むしろ我々のサッカーの方が相手を苦しめることが出来ていたので『このまま続けることが出来れば必ず得点を奪える』と話した。もはや、この時点で私も含めて選手達も”優勝”ということは一切考えていなかったと思う。目の前の相手を倒す・・・それしか考えていなかった。そして、それが私の求める究極のサッカースタイルだ。
後半も前半同様に相手のロングボールとスピード溢れるカウンタースタイルに苦しめられたが、徐々に相手の運動量が落ち始め後半10分以降は完全に相手を圧倒できたと思う。動けなくなり攻撃に出てこれない相手に対し、我々は最後の最後まで全員が連動し、繋ぐサッカーを実践して見せた。細かく繋ぎ相手を崩す・・・全員が最後まで走りきれない限り不可能なサッカーだ。しかし、選手達はそれをやってのけた。私としては駒沢の方がフィジカル面で優れたチームだと考えていたが、知らず知らずの間に私達のフィジカルは相手を上回っていたのかもしれない。これもトレーニングの賜物だ。そして、数々のチャンスを演出することが出来たが、結果的に1点しか奪えず2-2のドローゲームとなってしまった。しかし、その1点も見事に相手を崩しての得点だ。良いゴールだった。ゲームを通して前半のシュート数は5、後半は4、計9本のシュートを打った。我々は崩しきろうとするためシュートはどれも効果的な得点の可能性のあるシュートばかりである。対する駒沢は前半4本、後半0本だった。このシュート数とゲーム内容が比例しているように思う。
試合後、選手達は涙を流していたが、決して悲観するような内容ではなかった。むしろ、こうしたゲームを見せてくれた選手達を心から尊敬している。内容的にどちらが真の勝者に相応しいかは明らかだと思う。相手は強く、素晴らしい選手達を要する強豪ではあるが、今回に関しては前回の勝利よりも私達のサッカーや進んできた道が正しいものだったと証明できる内容になった。もちろん選手達の涙は『これで中学生年代の試合は終わりなんだ』という中3の悲しさや、『勝たせてあげられなかった』という中2、中1の無念な気持ちの表れだと思うが、私はあくまでもスフィーダで身に付けた技術を存分に発揮し、最後まで戦いきった選手達の”心”に胸を打たれた。勝てはしなかったし、優勝も出来なかったが目の前の相手に勝つという強い意志は感じることができた。ただただそれが嬉しくてたまらなかった。素晴らしいものを残してくれた中3選手に感謝すると共に”中3の意思”を受け継いだ下の世代がきっと関東での無念を晴らしてくれるはずである。
中3はこれで中学生年代の公式戦が全て終了したことになるが、ここで終わるわけではない。次は高校生年代、一般年代の中でもまれて行く、要は次のステップへ進むのである。ここから本格的に受験に入り、戻って来た時に再スタートを切ることになるが、中学生年代での無念は下の世代へ引継ぎ、自分達は高校生年代で次のタイトルを狙っていくことになる。終わり無き闘いはまだ第1章を終えたばかりに過ぎない・・・。

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