5/28(日) 和田ラフィーユFC

reported by 川邊 健一

今期より中学生リーグにも2部制が導入され、我々は昨年の結果から中学生1部リーグでの戦うことが確定していた。昨年度までは6チームによる予選リーグが設けられ、その後8チームによる決勝リーグという形で最終的な順位を決めた。
我々は毎年新入部員の中学校1年生を主体でこのリーグに参加している。例年のことになるが、今期に関してもメンバーの顔ぶれは大きく変貌し新たな選手達をここで鍛えるということを最大のコンセプトとしている。今まで戦ってきた全日本女子ユース(U-15)選手権大会東京都予選のチームとは大きく異なる構成で、簡単に言えばその大会でリザーブだった選手達がメインで試合機会を得られるリーグ戦。スフィーダの選手達は皆がサッカーを行うための最低限のスキルは持っている。従って、非常にレベルの高い選手達が数多くベンチに座っていたというのが実状だが、その選手達の潜在能力を引き出す為には非常に重要なリーグ戦であると位置付けている。
その開幕戦の相手は強豪和田ラフィーユFC、非常にシンプルな攻撃且つ効果的な戦術を駆使し戦うチーム。しかも、この日は前日から降りしきる雨の為、グラウンドコンディションは全面が水溜りというような状況。簡単なロングボールを放り込むサッカーを徹底している相手なだけにグラウンドコンディションを考えれば、その戦い方は非常に効果的であると考えられた。ただ、我々はそれでも自分達のサッカーを追及し、自分達の成長だけを考える必要があった。
試合では思っていた以上に自分達のサッカーが出来たと思う。もちろんグラウンドコンディションが万全ではなかっただけに細かいミスも多かったが、サッカーの質やチャレンジしようとしているプレーには何ら迷いもなく良い状態で試合に入れたと言える。スタメンで出場した5名の1年生も各々が持ち味を発揮しチームに感性を与えてくれた。先制点は1タッチプレーが3つ連続した素晴らしいゴールだった。その得点は1年生が2人絡み生まれたもの、非常に重要な得点だった。この得点からも含めて人とボールが動く連動したサッカーが出来ていた。今回は選手育成を重要課題とし多くの選手達はポジションを変更して戦っていただけに予想外の収穫というか、これでもこれだけ出来るのか、といったような感覚が残った。それはスフィーダというチームのサッカーが確立されて来ているという証明であり、またそれを実践する選手達の質の高さを示す証明だったとも言える。今まで出場するというよりも見ることの多かった選手達がこの中でコミュニケーションを取れるということは、それだけ選手達の理解力や潜在能力が高いということだと考えられる。前半はほぼ一方的に攻め立て、終盤には鋭い突破から追加点を挙げ2-0で終了。様々な要素を踏まえれば十分に満足できる内容と結果だったと振り返れる。
後半に入りスタメンで出場していた1年生5名をリザーブにいた5名の1年生と一斉に交代させた。ただ、それでも流れは変わらず常に得点機を伺える状態が続いた。しかし、時間の経過と共に相手の縦へのパワーが効果を発揮し始め、徐々に流れは相手に傾いていった。更に後半半ばには怪我で負傷した1年生1人以外の計9名を同時にピッチに立たせたが、さすがにパワー・経験で上回っている相手が支配力を増し始め、何度かの決定機を与えてしまう。それでも最終ラインに1名だけ残していた中3の選手が最後の最後でカバーに入ることが出来、失点は0。そして、後半0-0であったものの1年生だけの攻撃陣も得点への可能性を感じさせてくれる戦いぶりを見せてくれた。
終盤には五分五分の展開となってしまったが、それ以外の時間帯は悪くなかったと感じている。終盤の五部五分もほぼ1年生だけの構成で互角なのであれば問題ない。むしろたくましさすら感じている。昨年のように予選リーグがないだけに力の拮抗した相手とばかり戦うことになるため、1年生にとっては若干難しい試合が続くと思うが、それでもこの難しい試合の連続で多くのことを経験し学んでくれると確信している。
今回、我々は選手達を『普段のポジションに当てはめて戦うという選択肢』と『普段とは違うポジションで選手達を育成して行くという選択肢』の2つを持っていた。優勝を目指して戦うのであれば通常の戦い方を選択した方が確立はより高いものになるはずだし、グラウンド状態を考慮すれば通常のポジションで戦うことが最善の策と考えられた。しかし、試合直前までコーチと話し合い『結果を得ることよりも選手達の育成に努めよう』と話がまとまった。開幕戦での敗戦は優勝から大きく後退するということであり結果を得られないことは大きな痛手となる、しかし、それでも先を見据え選手達の育成を最重要課題とした。何故ならそれがこのカテゴリーのコンセプトであり、全日本女子ユース(U-15)選手権大会東京都予選では控えだった選手達も多いことからその選手達を育成して行くことが直接的に関東大会、全国大会で大きな力となっていくからだ。それは東京都予選でも証明することが出来た我々の財産だ。目先の勝利に捉われず、2歩・3歩先を見据えた選手育成とチーム作りが大きな力となっていく。だからこそ結果を度返ししてでも自分達の道を歩むことを選択した。選手達の可能性や潜在能力を目覚めさせ、また、多くの(普段とは違う)経験を積ませることで個々が大きく成長して行く。このカテゴリーの選手達の目標はスフィーダ内の一番上に当たるトップチームへ昇格を果たすこと。まずはそこを目指さなければならない。どれだけの選手がどれだけの時間を要し上がって行くのかは不透明な部分があると言えるが、それを果たした時に次の目標に切り替えればいい。今は多くの選手をトップチームへ導けるよう丁寧に、そして、慎重に選手達を導きたい。ただ、いくら育成がメインといってもそれを言い訳に負けて良いということではない。私はこのカテゴリーの選手達も信じている。各々の成長を促しながら、試合を消化する度に力を増していく・・・そして、結果的に優勝を狙えるチームに育て上げることが当面の目標になるだろう。

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