9/25(日) FC駒沢女子
reported by 川邊 健一
決勝戦は昨年と同じ顔合わせとなったFC駒沢女子。この決勝戦へ登り詰めるまでに色々とあった。何とかこのチームを勝たせてあげたいと思っていた。ただ、相手もこの試合に懸ける想いは強いことは承知の上だし、毎度の如く、スフィーダ対駒沢は死闘となる。そう簡単にどうにかなる相手ではないと感じていた。あとは準決勝に引き続き、台風の影響で吹き荒れる風を計算に入れて冷静に戦うことだけが重要であった。
前半、不幸なことに向かい風でスタート。ゲームプランとしては前半戦を何とか凌ぎ、追い風となる後半に勝負をかけに行くという準決勝と同じプラン。前半は相手が試合を支配していたが、準決勝のさくらガールズとは対照的で縦への速い攻撃が少なく、横への展開が多かったため、比較的対応には困らなかった。これなら前半を凌ぐことはできると感じていた。また、向かい風ということで押し込まれることが多かったが、その分、相手の背後に大きなスペースが出来ていたので幾度かカウンターアタックでゴール前に迫ることが出来ていた。どちらも大きな決定機というものは少なく前半を妥当な結果で終えた。
後半、次は追い風の力を利用し我々が主導権を握る機会が多くなると考えていた。しかし、DF陣が軽率なミスを犯してしまい痛恨の失点を許すことになった。その後、度重なる攻撃・シュートを放つものの、相手ゴール前に決定的な状態で侵入することができない。これではこのまま逃げ切られることを悟り、トップチームのDFの選手を中盤に上げたが、その選手が見事なまでに結果を出してくれ1-1と追いつくことが出来た。これは私の采配が的中したというよりは、その選手の強い気持ちが生んだ得点だったと思う。決勝戦ということ舞台ということで強い気持ちがあったとも考えられるが、それよりも1失点目の痛恨のミスを犯した直接的な選手はこの選手だったことからも考えられるように自分のミスを自分で取り返そうとした姿勢が、この同点弾を生んだものと考えられる。最高の時間帯で最高の得点を見せてくれた。非常に素晴らしいゴールだった。
その後、試合は延長戦にまでもつれ込むが決着は付かず、PK戦へ突入した。PKになれば勝敗を読むことは非常に難しい。正直なところじゃんけんのようなものだと思っている。それまでの流れやPK戦に入った時の流れで勝敗が決まることはあるが、それを言ってしまえば優勢だったのは我々だったと思う。同点に追いついたことやPK戦でも相手のミスキックで何度もリードを奪えるチャンスがあったからだ。しかし、そのチャンスを何度となく逃してしまい、最終的には敗戦し準優勝で大会を終えることになってしまった。非常に残念な結果ではあるが、私は選手達を称えたいと思っている。ここまで来るまでに数々の試練があった。しかし、選手達はそれを乗り越え自分達の可能性を示してくれたと思っている。よく歯をくいしばり戦い抜いた。準優勝で満足してはいけないし、満足はできないが、今回はこの結果を真摯に受け止め納得している。優勝するには何かが足りなかったわけだし、その何かはこれから探していく新たな課題とすればいい。それに選手達のコンディションは連日のフィジカルトレーニングにより追い込まれていたが、精神力だけで戦い抜いたことも評価したい。今大会を通じて選手達はたくましくなったと思っている。接戦の末のドローよりも接戦の末の敗戦の方が学ぶことは多いような気がする。そういう意味ではPKでの敗戦は優勝した相手よりも多くのことを学ばせてくれるかもしれない。選手達は悔しいだろうし、辛かったであろう。しかし、その想いがあるのであれば必ず成長できる。また、新たな一歩を選手達と共に歩み始めたいと思う。