8/24(水) 横須賀シーガルズJOY

reported by 山田

さいたまフェスティバル順位決定戦、予選3位で通過を決めたのは神奈川の強豪クラブチーム横須賀シーガルズの下部組織であるJOYであった。年代は中学1、2年生が多く在籍しているものの、技術力は非常に高いものを持っており、予選4試合で20得点を挙げる程攻撃力のあるチームである。その攻撃力と技術センスはUー18Bとの試合を観戦した時に把握できており、非常に厳しいゲームになると予想できた。
本来ならばこの試合は翌日に行なわれるはずの日程であったが、大型台風の接近により、大会最終日の続行が難しいと判断した大会本部側の意向で急遽3試合目としての組み合わせとなった。通常では有り得なかったスケジュールであり選手の疲労度、集中力、怪我への恐れなど不安要素は幾つかあったが、状況が状況でありどのチームも同じ境遇であることを考えると仕方のないことだった。
ただ、我々に優位な部分があったのは空き時間が3時間近くあり、対するシーガルズには1時間程度しかないことであった。その間に食事、休養を十分に取らせ、ウォーミングアップもコミュニケーションやボールフィーリング、ストレッチングのみに控えて行なった。
試合前ミーティングにおいて、相手の特徴を十分に理解させた。まずシーガルズの最も得意とするショートパスやワンツーでの崩し方。これに対してのチャレンジ&カバーの意識を徹底し、インターセプトやトラップした瞬間の守備は積極的にトライするよう指示した。前を向かれた場合は個人技に優れた選手が多いため、奪いにいくのではなく止める守備に専念するよう確認を行なった。縦に早いシーガルズをスピードダウン又は前を向かせないようにするのが主な狙いであった。また、今大会の集大成であることや、トップチームに召集されなかった選手のみでの参加ということもあり、自分が主役になることへのこだわりを強く持たせ、送り出した。
前半開始、選手たちの強い気持ちがプレーへと現れていく。コミュニケーションを果敢に取りながらボールを追い込み、積極的にトライを続けた。またコンタクトプレーで相手にプレッシャーをかけ、出だしから攻撃的な姿勢で展開することができた。中盤では相手の技術対運動量という形で五分五分の内容であったが、コンタクト面で優勢を保てた上に両ウィング前方のスペースを利用してロングボールを送り込むことで、サイド深くからチャンスを演出できていた。そして前半10分頃、相手のバックパスに反応した中1の選手がフォアチェックをかける。これに慌てた相手GKがミスを侵し、ルーズボールをシュート。早々に先制点を挙げることができた。その後も勢いに乗ってFW陣がゴールへ迫ろうとするが、決定機には至らなかった。チャンスを活かせず運動量が落ちてくると、次第に相手に前を向かれるようになる。相手は中盤と左サイドにキープ力の高い選手、FWに能力の高い選手を要しており、ショートパスやワンツーに個人技を交えて突破を図ってきた。チャレンジ&カバーやプレスバックでうまく対応できていたが、時折我慢できずに足で取りにいってしまったりファールを犯してしまうようになっていった。すると前半終了間際にミドルゾーン中央でFKを与えてしまう。ゴールまでの距離が十分にあったため、下がって弾き返すという方法が妥当であったが、判断を誤りGKの前に広大なスペースを空けてしまい、そこへ抜け出したFWに決められ同点にされてしまう。このまま前半終了。
ハーフタイム、選手たちの戦う姿勢は衰えていなかった。FW陣も追加点へのチャンスを感じており、自分たちで修正する声が掛かっていた。選手にはお互いのミスで生じたスコアであるため、何も気にせず前半同様に行なうよう話した。そして日程から考えて後半は体力面でのアドバンテージが生じるため、最終ゲームを全力でプレーするよう後半へと送り出した。
後半開始、前半の終わり方からして相手に勢いが出てくると予想していたが、消耗が激しかったのか運動量が増える様子はなかった。逆に運動量を取り戻した我々がペースを掴み、相手の中心選手に対してはしつこく、人数をかけることにより五分の状態を保った。他のポジションでは1対1で崩せる場面も多く、2対1や3対2といった数的優位の状況に持ち込むことで優勢に試合を進めていった。しかし相手も気持ちの強いチームであった。同点であるからこそ攻め気を緩めず、相手の強い闘志やベンチからの指示に油断は許さなかった。後半半ばはミドルゾーンを中心に一進一退の攻防が続いた。お互い攻め込まれた後のカウンターを狙う展開となったが、この戦い方には我々に分があった。それまで何度か突破を試みていたFWがスルーパスに抜け出し、GKとの1対1をニアへ放ち逆転に成功する。このまま終盤にかけて同じような展開が続き、2ー1で試合終了となる。
非常に困難な試合であったが、少ない人数でここまで戦い抜き、勝利を収めたことに大いに満足することができた。しかし、急なスケジュール変更で生じた休養の差を考えるとフェアな勝利ではなかったと振り返っている。シーガルズの選手たちは最後まで全力でプレーし、諦める様子を一切見せなかった。その闘争心には敬意を表したい。同じ年代であることが我々にとってもモチベーションとなり、予選からの苦悩を吹き飛ばしてくれる白熱したゲームとなった。第1節から修正を重ねてきたことが実を結び、まさに集大成となったと振り返られる。大会5位という結果には満足できないが、この大会での一戦一戦で選手たちが経験した事や、自分たちで行なってきたことは必ずこれからの成長に拍車をかけるものになると信じている。現に予選第1節では明らかに『サブの顔』で揃った選手たちであったが、この最終戦では『主役』となって気迫のこもったプレーに変わっている。若いチームであるためメンタル面での波が大きいという特質はあるものの、技術面に関しては大会トップクラスのパフォーマンスを見せてくれた。今大会でのモチベーションや勝負へのこだわり、目標が統一された時の強さを忘れずに、これからのチャンスを掴んでほしいと思う。

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