7/3(日) ラガッツァFC
reported by 川邊 健一
中学生リーグ第3節は共に同じ相手から2勝づつ挙げているラガッツァFCとの対戦。相手DF〜FW各ラインに中3の優秀な選手を揃えており、ロングボールを中心にシンプルに攻めてくるチーム。GKも1年生ながら非常に安定しており、難しい試合になることは想定していた。我々は中1が最も多くピッチに立っていたが、それでもここ数週間の中1の成長は目覚しく、それがハンディキャップになるとは微塵も考える必要がなかった。
前半、開始30秒のファーストプレーでPKを献上してしまった。さすがにこれは想定外であり、出鼻を挫かれた状況であった。それをきっちり決められてしまうと、その数分後にはセットプレーからいとも感単に抜け出され2失点目。技術力・総合力では上回っている部分も多かったのでポゼッションにしても崩しにおける仕掛けにしても試合を優勢に進めていたのは私達だといって間違いないであろう。しかし、この2失点のセットプレーになるきっかけを与えてしまったのは間違いなく守備陣のコミュニケーション不足が招いたもの。意志の疎通が図れていれば相手にセットプレーを与えるような難しい対応ではなかった。2失点直後には相手の守備ラインをしっかりと崩しFWが1得点を奪うが、その後は相手が最後の局面で粘りを見せ、なかなか追加点を奪えない状態であった。ボールを保持し試合を押し進めるスフィーダにロングボールでの1発・個人技での1発を狙うラガッツァという感じだった。先にも述べたが相手は各ラインにキープレーヤーが存在し、その選手達の個性は目を見張るものがある。しかし、攻撃に転じた時に明らかに枚数が足りないため流れの中から失点をする可能性は薄いと感じていた。
ハーフタイムには、もう失点はない、あとは1点奪えば同点、2点取れば逆転だと選手達に伝えた。唯一、失点する可能性があるとすれば前半と同じようなセットプレーでの失点。しかし、1得点後は明らかに相手陣内でプレーする時間帯が長かったこと、後半に流れが急転することはないという自分の勘を信じ、そう伝えた。あとは粘る相手からどうやって追加点を奪うかということだけだった。
後半も流れは同じ。まだまだ不安定な部分は多いが落ち着いてビルドアップしショートパスを中心に崩していく。また、それに個人技も加わり、悪い内容ではなかった。更にここまでのトレーニングの成果を発揮しようとする中盤の中1選手達の直向さは評価に値するものであった。しかし、本当に得点が奪えるような内容かというとそうでもない。これまで攻撃陣の中で唯一、1人で試合を壊せる身体能力を持った選手(中1)が練習中の怪我で出場不能であった。どんな試合でもどんな相手でも果敢に仕掛け常に優勢な状況をもたらしてくれた選手の不在。また、中1がほとんどの攻撃陣では、身体能力で局面を打開できる選手はまだ少ない。中1は皆、素晴らしい個性を持った優秀な選手達であり、皆同じだけの評価をしているが、身体能力面で中2や中3に勝てる選手は多くない。サッカーは11対11のスポーツではあるが最終的に勝負を決定付けるのは間違いなく個々の個性や能力だ。そういう意味では怪我の選手の身体能力に改めてその必要性の大きさを認識させられた。最終局面での個人技、個性がまだまだ足りないということは事実だし、今後はそこを新たな課題とし成長させていく必要がある。結局、ゴールから遠い位置ではあったが、またもフリーキックから失点を許してしまうことになる。GKが果敢に飛び出し前で処理しようとしたボールがバウンドし頭を越え、相手FWに押し込まれてしまった。アグレッシブに取りに行った結果なので、問題ではないしGKも中1だったので先への経験という意味では非常に良い反省材料が出来たと前向きに捉えたい。また、そこまでのプレーには目を見張るものがあり、失点以上に評価を与える内容であった。その後もチャンスは訪れるものの決定機を尽く外し1‐3で敗戦となってしまった。
非常に残念な結果であるが、元々、中1が自分の個性を存分に発揮するのは夏以降と考えていたので、この予選リーグは1位であろうが2位であろうが突破することが重要だと考えている。とにかく予選リーグさえ突破すれば夏以降の決勝リーグはもっと素晴らしいゲームが出来る。今は次の1戦のことだけを考えて進む必要がある。また、今回の試合において中2、中3は第1節・第2節で見せたような集中力がなかった。テスト等でコンディション調整が出来ていなかったということを考慮しても認められるような部分は少なかった。もっとリーダーシップを発揮し、自覚あるプレーが見たかった。中2、中3に対しては厳しいことを要求しているかもしれないが、それは毎年必ず循環していることであり、必ずやらなければいけない宿命だ。もっと言うなら、それが出来なければある一定のラインの選手で終わってしまう。難しいことかもしれないが、使われる選手ではなく使える選手に成長してもらいたい。それが出来る出来ないかでは今後のサッカー生活が大きく異なる。だからこそ、私は強く強調したいし、厳しい姿勢で選手達と向き合うのである。課題は山ほどあるが、このチームは良いところもたくさんある。見ていて面白いし将来性もある。多くの可能性を引き出すためにも次の1戦は何としても勝たなければならない。勝つ必要性のある試合という緊迫した雰囲気を楽しみたいと思う。