4/16(土) FC駒沢

reported by 川邊 健一

第10回東京都女子ユースU-15サッカー選手権大会東京都予選。この大会は関東大会、全国大会と先へ続く中学生年代では最も大きな大会。スフィーダが設立した2001年までは行われていた大会であるが、2002年以降は選抜大会制が導入され単独チームでの全国への道はなかった。しかし、今年からこの大会が復活し全国の強豪チームと戦えるチャンスが巡ってくることになった。しかし、その為には東京都予選を勝ち抜き、関東大会を勝ち抜くことが必須条件であり、簡単ではないことは分かっている。ただでさえ難しい大会であるのに私達は最も厳しいグループリーグに入ってしまった。予選を通過することすら困難な状態にある。
その第1節はFC駒沢、過去に何度も対戦してきた非常に手強い相手。優勝候補の一角として考えても良いと思う。相手に力があることは分かっていたが、相手がどうこうよりも自分達のサッカーを出し切ることが重要であり、この中学生年代のチームでもそれが出来るようであれば必ず勝てると信じていた。しかし、キックオフからしばらくが経ち最初に感じたのは駒沢第一球技場特有の砂場のようなピッチでは細かいパスやしっかりと後方からビルドアップするサッカーは難しいということ。特にこの年代の選手達は筋力的に難しい部分がある。更に不用意なミスからのパスカットは相手に決定的な仕事をさせる危険性が十分にあった。それだけは避ける必要がある。ただ、そんな中でも局面を細かいパスワークで抜け出してGKと1対1になり決定的な場面を迎えることもあり、試合を優勢に進めていく。このようなサッカーを心掛けることは素晴らしいことであるが、この大会に関しては内容よりも結果が大事、まずは失点しないことを考え、その為にはどういう展開が理想的な結果を生む出すのかを探った。従って、不本意ながらDFラインでの決定的なミスを避けることとグランド状態に適したサッカーを考え、不本意ながらロングボールを相手DFの背後に送るというシンプルな攻撃を支持した。前半は局面局面で相手に競り勝てることも多く、試合を優勢に進めることが出来ていたが、相手DFは最後の局面で身体を張り踏ん張っていた。何本か訪れた決定的なシーンで決めきれなかったことは痛かったが、この流れを継続していけば結果は自ずと付いてくると感じる内容であった。
しかし、後半は前半と流れが逆転し押し込まれてしまう時間帯が続く。前線へボールをフィードしても相手DFにことごとくはじき返され更にはセカンドボールが拾えなくなる。これが結果的に相手主導の展開に仕向け、戦いは時間の経過と共に難しさを増していった。但し、こちらのDFラインも完全に崩されることは1度もなく、お互いに決めてはなかった。私達の攻撃回数は減ったが、相手もペナルティーエリア内に侵入できることはほとんどなく流れ・リズムを察しても明らかに引き分けが濃厚なゲーム展開であった。終盤に差し掛かりロスタイムに入った終了間際、相手のキープレーヤーにペナルティーエリア外から放たれたシュートを決められてしまう。GKのファンブルということもあったが、相手選手のゴールに向かう姿勢の方がわずかに勝っていた結果だと思う。
結果的に初戦を落としてしまったが選手達はよく戦ったと思っている。相手にも言えることであるが、このピッチでの戦いは想像を絶するほどの難しさがある。非常にタフなゲームであった。お互いにチームとして戦う最低限の技術力は持っているが、そんな姿は微塵も確認できない試合であったと言って良い。見ていても全く面白さを感じない内容だったと言える。技術面での攻防は皆無に等しく、お互いにロングボールに終始した。リズムとしては非常に単純且つ明解なもの。しかし、大事なのは与えられた状況の中で全力を尽くすことが必要であり、誠心誠意相手と向き合えるかということ。それが完璧に出来たとは全く思わないが、自分の出来うることをやろうとする選手が数名いたことは収穫であった。
この試合で勝ち点を挙げられなかったのは正直痛い。4チームのリーグ戦なので残りの2戦を2連勝できれば問題ないが、そう簡単に勝たせてくれる相手ではない。状況は良くはないが、この追い込まれた状態から抜け出すことで、今の悪いチーム状態に明るい兆しを与えてくれると信じている。試合後のミーティングでは、このメンバーが初めて意見を交換し、積極的な話し合いを行っていた。選手達も自分達の状態とグループリーグを何とか抜け出そうと努力している。チームは三保の森カップ以降どこか自信を失い活気もなかったが、再起を願っているのは他の誰でもなく選手達本人だ。私は彼女達の潜在能力やどれだけ出来る選手達なのかもよく理解している。今の彼女達に必要なのは『自信』というたった1つの要素だけである。これを取り戻すことは容易なことではないが、このリーグを突破できた時、それは必ず戻っているはずだ。だからこそ何としてもこのリーグを突破したい。もう1度、選手達の自信に満ち溢れたプレーとその姿を見たいと心から願っている。

試合結果に戻る