ゲーム分析レポート
9/10(土) 東京都ガールズ(U-15)サッカー大会 準決勝
VS.青梅ストロベリー ●2-4(0-3、2-1)
reported by 山田岳暁
ゲームテーマ:オフザボールの動きの質
守備テーマ :チャレンジ&カバー
攻撃テーマ :数的優位の状況をつくる
東京都ガールズ大会準決勝、青梅ストロベリーFC戦。非常に攻撃的で迫力のある、今大会の優勝候補との一戦であった。準々決勝以降は、これまで進めてきた数的同数の突破の強化に加えて根本的な1対1の部分にも焦点を当て、当日の試合に備えた。また、間違いなく今大会の山場となる相手だけに、「我慢」がキーワードになる。苦しい時間帯に、どれだけ「今まで通り」が発揮できるかが、その状況を打開できる大きなポイントだった。
今回は、現段階の総合力の差を埋めるために、中盤を厚くする布陣で臨んだ。これまでの青梅FCの勝利パターン=“序盤の連続得点”を抑え、自分たちの時間帯をつくることがまずは必要だった。
前半開始。予想に反し、相手が様子をうかがうようにロースタートだったことが幸いし、先手を握ったのはスフィーダだった。早い時間から相手ゴール前に迫ることができたため、選手たちの「らしさ」はよく出ていた。相手の速攻に対しても、中盤・守備陣がしっかりとバイタルエリアを埋めるブロックを形成できていたため、組織的にチームが機能していた。
しかし、ゴールを脅かす一人の選手によって、流れは一気に変わってしまう。ペナルティエリアより20Mは手前のこぼれ球を、GKのポジションの隙を見事に付いたミドルシュートで失点を許すと、その直後にも同じ選手に同様の追加点を許してしまう。個人の得点への貪欲さや嗅覚が優れた青梅FCらしい攻撃で、あっという間に0−2のスコアとなる。その後はこちらも気持ちを立て直し、前半で1点を返せる雰囲気はあったものの、前半終了前に与えたFKが直接決まり、0−3で折り返すこととなる。
スコアこそ大きな差をつけられたが、前半を戦った選手自身が「いける」と感じていたことが、後半につながる大きな要素になった。もしここで喪失感を持って折り返していたら、恐らく何も残らない結果になっていたと考えられる。
後半は、シンプルに2対1の数的優位の突破を繰り返し、攻勢を保つことができていた。しかし、相手DF陣の粘りもあり、簡単には得点を許してもらえない。0−3という点差とは思えない激しいゲーム展開だったと振り返っているが、数多くの勝利と経験値を重ねている青梅FCの選手たちの1対1の強さに対抗するには、技術とスピードだけでは限界があった。次第にこちらの運動量が落ち始めると、相手も落ち着いて裏への配給が出せるようになり、終了10分前には抜け出しからGKとの1対1を決められてしまう。
それでも、最後まで得点を目指した結果、その2分後にFWの個人技からようやく1点を返す。さらにその5分後に追加点を挙げ、あと5分あればというところで試合終了。2−4で決勝進出を逃すこととなった。
終了後には、選手達に今までなかった悔しさが表れていた。優勝候補相手に、「まだやれた」という感覚を得ることができたのは、必ず次につながる。前半の失点を不運とも思えたが、実際に相手は確実に判断しており、得点チャンスをものにした結果である。ちょっとの身体の寄せや、相手のように貪欲に得点を狙うことが足りなかった差が、前半のスコアとなった。
事実、敗戦したことには変わりない。まだまだ力が足りないだけのことだが、選手たちは最後まで戦い抜き、可能性を見せてくれた。幸い、今大会の最終日まで駒を進めることができているため、これまでの半年間の総決算として、全力で勝利を目指したいと思う