ゲーム分析レポート
9/23(金) 東京都ガールズ(U-15)サッカー大会 3位決定戦
VS.INAC多摩川レオネッサ ●2-3(1-2、1-0、延長0-0、0-1)
reported by 山田岳暁
ゲームテーマ:数的優位をつくるオフザボールの動き
守備テーマ :ボールホルダーへのアプローチのかけ方
攻撃テーマ :数的優位をつくるための組み立て
ガールズ大会最終日、3位決定戦。相手は中学1部リーグ所属のINAC多摩川レオネッサであった。INAC多摩川さんは今大会の初戦でスフィーダU−14と対戦しており、2−0で勝利、その後も順調に駒を進めてきた。準決勝では、ボタンの掛け違いのようなゲームで奇しくも敗戦を喫したが、東京を代表するチームの一つである。
一方の我々U−13は、毎試合を挑戦者として挑み続け、自分たちのやるべき事に従事することを目指した。準決勝の青梅ストロベリーとの一戦以後、ジェフユナイテッド市原U−15とのトレーニングマッチ、スフィーダユースとの紅白戦など、スピード・パワーを兼ね備えたテクニックのあるチームに胸を借りる機会があり、この上ない調整を進めることができた。それでも、今日の相手が格上であることは変わらず、全力を出し切ってもなお接戦になるだろうと予想していた。
中学1年生には広すぎるほどの正規の天然芝ピッチ、コンディションはややデコボコであったが、台風の影響もなく最高の舞台でキックオフ。
相手のスピードや策を探るべき時間帯に、できればじっくりと臨みたいところであったが、エンジン全開でスタートしたINACの圧力に耐え切れず、3分にP.A右サイド45°あたりからミドルシュートから失点。出鼻をくじかれた状態から体制を整えたいところに、10分、同じシチュエーションで同じ選手に同様の失点を許してしまった。
早い時間帯での2失点、残された時間を攻撃に充てるしかないというシンプルな状況に、選手たちの硬さが取れたように感じた。また、相手は出だしの緊張感から解き放たれたことでトーンダウンしたこともあり、徐々に試合の流れが変わっていく。決定的とは言えないが、相手の背後に抜けだすシーンや最終ラインを突破する回数が増え始めると、選手個々の視野も広がり、ピッチを効果的に使うことができていた。
行うことをシンプルに、かつ少ないタッチ数でプレーするための判断を徹底的に求め、自分たちのサッカーに従事することができたことで、前半終了1分前、2列目の飛び出しから相手GKとの1対1を冷静に流し込む。後半につなぐ追撃ののろしとしては、最高の時間帯の得点だった。
この1点のおかげで、ハーフタイムは非常にポジティブな雰囲気があった。後半のメンバーもモチベーション高く、前半メンバーからの情報を引き継ぐことができていた。
後半、エンジン全開でスタートしたのはこちらであった。前半の勢いをそのまま引き継いだように、個々の特徴や判断を活かしたポゼッションと縦のスピードをバランス良く組み合わせ、多くの時間を相手陣地内でプレーすることができた。しかし、前半よりも多いチャンスを決めきることができず、攻め疲れが見え始める。お互いに我慢と正しい判断が求められる拮抗状態が続いたが、残り10分を切ったところで、ピッチ中央を2列目の選手が抜け出す。重圧のかかるGKとの1対1をしっかりとコースに流し込み、2−2の同点に追いつく。その後、逆転できる時間は十分にあったが、攻守に渡り全力で走り続けたことで前線の選手のオフザボールの動きの質が低く、ラストパスが相手DFに引っ掛かり、貴重なチャンスを逃し後半が終了する。
5分ずつの延長戦に入り、お互いに決定的な場面を作るが、踏ん張りの利かない選手が増えていた。延長後半には足をつる選手が出て、しばし試合が中断する。この時間に、選手同士でのコミュニケーションや水を入れることもしっかりと行えていた。そして、自陣でのドロップボール。相手がスフィーダDF陣にボールを入れてくれた際に、その状況(ルールにはない、サッカーのマナー)を理解し切れなかったことで一瞬戸惑いを見せたのが、スフィーダだった。慌ててポゼッションを開始したところで生まれた隙を見逃さなかった相手のボール奪取から、そのままスルーパス、GKとの1対1を決められる。終了1分前の、時間が止まったかのような一瞬の出来事だった。
PK濃厚だと思われたところでの、「魔の時間帯」での敗戦となった。
今日の試合で勝つためには、相手最終ラインの突破の精度を上げることと、そこに数的優位の状況をつくるための走力、フィニッシュの精度が必要であったが、敗因は私自身にあった。チームの士気を高め、選手の足を止めないための鼓舞、チームバランスを取らせるためのコーチングに目を向けていたことで、あの一瞬を回避することができなかった。選手が判断できないことをコーチングするべき時に、それを行わなかった私の判断ミスが、勝敗を分けた。
選手たちはこの大会を通じて、着実に成長を遂げている。常に課題に向き合い、その克服の場が公式戦という日々を繰り返してきた。入部から半年間の集大成となる大会であったが、今日選手たちが魅せてくれたサッカーは、観ている人たちに期待や楽しみを与えていた。まだまだ基本を徹底しなければならず、余すことなく努力を続けることが必要だが、一つの区切りとして選手達に賞賛を送りたい。私自身も、選手以上に成長しなければならず、そのための努力を惜しむことなく、従事していきたい。