11/21(日) ルネサンス熊本FC

reported by 川邊 健一
チャレンジリーグ入替戦第2戦(アウェイ/45分ハーフ)
スフィーダ世田谷FC 2
1
前半
後半
2
0
ルネサンス熊本FC


4 田中麻里菜

8 山田ゆり香
4 田中麻里菜
得点経過
11min
17min
36min
38min
86min

11

20


12 シュート数 8

チャレンジリーグ入替戦第2戦は相手の本拠地熊本に乗り込んでの試合。第1戦で3-3のドローで終わったことにより、勝利もしくはドローでも4-4以上の引分けしか許されない不利な状況であった。アウェイゴールを3つも許したのは痛く、勝つしかない状況に追い込まれてしまいはしたが、仮に第1戦で勝利していようとも私達は勝利を目指して闘うことを選択する。それがスフィーダの哲学だからだ。
このゲームにおける先制点の意味は十分に理解していた。しかし、ルネサンス熊本はサポーターの後押しを受け、前半11分にCKのルーズになったクリアーボールを拾い11番が見事なミドルシュートを決め失点。この失点によりスフィーダは2点以上の得点が必要となり戦況としては難しくなった。ただ、私達は前半1点、後半1点、そして、どこかで1失点することを想定し2-1で勝つことをもくろんでいた。従って、ここで慌てることなくチームは淡々と闘うことが出来ていた。
そのこともあってか、6分後には#10松原のFKから#4田中がヘディングで見事に決め1-1に追い付く。この勢いで追加点を奪おうとチームは何度となく相手の嫌なポイントに侵入し続けるが、相手も最後のところで身体を張り、いつものようにシュートまで辿り着けることが少ない。
相手は第1戦と同様にスフィーダDFラインの背後にロングボールを入れ続け、シンプルなダイレクトプレーからの得点機を伺い続けていたが、今回はその精度が第1戦よりも明らかに高く常に集中力が必要となる難しい試合展開だった。
そして、迎えた前半36分。相手のキープレーヤーと考え、その対応には注意を払っていた20番に豪快なロングシュートを決められ1-2となる。DFラインの背後への配給を食い止めようと対応したDF陣の裏をかかれ、とっさにシュートに切り替えたあたりはさすがの一言である。前に出ていたGKの頭越しに得点されたが、追加点を狙おうとテンポよく攻撃が出来ていた時間帯の失点は非常に痛かった。
しかし、その直後、スフィーダで最年長の#8山田が右サイドからリフティングで中央へカットインし、尚もシュートブロックに入るDFを次々にかわし、左足を一閃。スーパーゴールですぐさま試合を振り出しに戻した。
その後、両者譲らぬ意地と意地のぶつかり合いが演じられ、どちらに3点面目が産まれてもおかしくはない目の離せない展開へと移り変わっていく。

後半、時間だけが過ぎ去り、その経過と共に焦りが強くなってくる。2-2に追い付いた所から30分以上も得点が奪えない時間が続いた後半25分、早々に準備してきたパワープレーで力づくの得点を狙いに出る。システムも3-4-3に変更し攻撃を続けるが時間の経過と共に相手の集中力は更に増し、今までに感じたことがないほど時間の進みが早く感じられた。残り10分となった後半35分、、、最後の手段である3-3-4にし最前線に4枚の選手を並べる。そして迎えた後半41分、前線へ上げていた田中が左サイドに抜け出すと、そこから中央へゴールライン沿いを中央に切り込み、誰もがクロスを合わせると思ったプレーでシュートを選択。それがうまく決まり、ようやく最後の最後で逆転することが出来た。2-2に追い付いてから48分後のゴール、しかも試合終了間際のゴールだけに勝利は大きくスフィーダに近づいた。
そこからの4分間、そしてロスタイムの4分間、この8分間は途方もなく長い時間だった。。。前線にフレッシュな選手を投入し、前からのプレッシャーでロングボールの質を落とすことと、前線の運動量を上げ、追加点を狙うことを同時進行で行った。相手とはたった1点で状況が180度変ったわけだが、最後の最後まで緊張の糸を切らすことなくチームは闘ってくれた。
たった1点で全てが変る…まさに入替戦という試合だった。そして迎えた後半45分+4分…主審の口にホイッスルが運ばれた。
試合終了と共にピッチに泣き崩れる両チーム。その涙には大きな違いがあれど、そのシーンだけ見ればどちらが勝者でどちらが敗者なのかはわからない。それほど切迫したゲームであり、全てを出し切ったゲームだったということがご理解頂けるだろう。


チーム設立から10年目の2010年、私達は遂に最大の目標であったなでしこリーグ/チャレンジリーグ(Lリーグ)への昇格を果たすことが出来た。これで日本女子サッカーリーグに加盟できるわけであるが、私達の闘いはようやく第2章まで辿り着けたにすぎない。。。今回の勝利は、チームに新たな歴史を刻むことになったことから、今は将来への希望ばかりが膨らむが、希望や期待だけで闘っていけるような場所ではないことも容易に想像することが出来る。本当の闘いは、ここからなんだと思っている。
ただ、今は余韻浸り、しっかり休み、来シーズンへの鋭気を養うことに専念したい。


ここまでクラブの活動に賛同し、クラブのことを応援して下さった全ての方々に心から感謝致します。この大きなプロジェクトはクラブの力だけではとてもではありませんが実現不可能でした。多くの方々の後押しや支援があったからこそ、最後まで選手達と共に前だけを向いて走り続けることができました。
これで歩みを止めることなく、私達は更に高みを目指して歩んでいく所存です。引き続き、応援のほど何卒宜しくお願い致します。

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