7/21(月) フィオーレ武蔵野FC ○2-1(0-0、2-1)

reported by 川邊健一

先週に引き続き行われた全日本女子サッカー選手権大会準々決勝。相手は同じ東京都1部リーグに所属のフィオーレ武蔵野、、、内容から言えば、良いところなく終わったゲームであった。

先週の試合から、しっかりとトレーニングを重ね、男子クラブとのトレーニングマッチも含め、自分達のサッカーに自信を持ち始めたところでの試合であったことにより、結果、内容共に期待していた。そんな中での、この内容には残念だが、恐らく、トレーニングが効果的に行われすぎて、選手が少し安心してしまっていたのかもしれない。また、私もチーム状態に納得し油断があったのかもしれない。いや、あった。自信がいつしか過信に換わっていたことに気付いていなかったのだと思う。

試合は、相手の徹底したロングボール、DF前に落すパスなどに苦しんだ。少しでも処理を誤れば失点に繋がる攻撃であり、また、押し込まれるとなかなか押し戻せない効果的な攻撃だった。それでも局面を振り切り、何度となくゴールに迫っていくが、最後のシュートの場面で尽く外し続け先制点が奪えない。嫌なムードでハーフタイムを迎えることになった。

後半、開始直後に爆発的なフリーランニングから相手DFを引き付け、サードマンランニングで中央を切り裂く理想通りの得点が入った。これで一気にたたみ掛け、その直後にも同じようなパターンでFWが抜け出すも、ループシュートはポストに阻まれ、勝敗を読めるようなスコアにはならなかった。その後も試合様相は変わらず、攻め込もうと努力するスフィーダに対し、危険なカウンターを淡々と狙うフィオーレ・・・私は、そこで勝負に出てしまったが結果的にはそれがおきなミスであった。失点はしないだろう・・・そんな油断からチーム最重要プレーヤーのセンターバックをサイドバックに回し、より攻撃的なシフトに切り替えた。空いたCBのポジションには交代で投入したセンターバックを入れたが、その直後に痛恨の失点・・・本来であれば、絶対に交代をしないタイミングにおいて交代させた私の明らかなミスであった。何故こんなにも無謀な交代をしたのか?それはロングボール一辺倒の相手に対し、交代で投入した選手は空中戦に絶対の自信がある選手。そして、何よりも大量得点し勝とうとした私の欲が攻撃的なシフトに切り替えさせた。結果的にそれが判断ミスであり、交代で入った選手は何も悪くない。大事な大会において、出来るだけ多くの選手をピッチに立たせたいという自分の甘さも痛感した。
失点のシーンは、運の悪いプレーが2つも重なった誰が見ても運の悪い失点。しかし、試合前に選手達に話したこと。それは・・・『運の良いラッキーゴールなど存在しない、例えば、ボクシングにしてもラッキーパンチという一発の逆転KO劇などがあるが、そのラッキーパンチと言われるものも、ボクサーが必死にトレーニングを繰り返し、何十万回、何百万、いや、何千万とサンドバックに叩き付けて来たパンチなのだと思う。だから、ラッキーではなく、それは実力。サッカーにおいても、それは同じこと。運が悪かった、ついてなかった・・・つい言いたくなってしまう言葉ではあるが、相手も必死にトレーニングしてきたからこそ、ラッキーシュートが産まれ、強運を引き寄せることが出来る。結局は、チャンスを活かすも殺すもそれはそれまでの準備次第であるわけだから、ラッキーなど存在しないんだ、全てが実力なんだと認めよう』ということ。たまたま、そんな話をしていたが、失点はそういう風に見えるゴールだったのではないかと思う。
そこで1-1となり、残り時間も10分強・・・正直、焦っていないと言えば嘘になる。相手は完全に息を吹き返し、気迫も十分だった。サッカーの試合では良く起こる逆転試合の内容だった。ただ、ここから選手達はもう一度目覚め、相手のゴールを襲い続けた。その結果、CKから押し込み2-1。このゴールもラッキーと言えばラッキーに写る。GKのファンブルを押し込んだ得点であったが、セカンドボールを予測し飛び込まなければゴールにはなっていない。やはり、これも実力なのであろう。事実、同じような状況で飛び込まない選手も多くいると思うが、それは日頃からのトレーニングによる習慣から産まれるものだと思えた。

今回のゲームでは、自信を持って臨めたが、思っていたように試合を運ぶことが出来なかった。もっと早い段階で得点が取れていれば・・・追加点が取れていれば・・・色々と考えたが、これも実力だから仕方がない。これが現段階の自分達の実力なんだと知る必要がある。現実から目を背ければ強くはなれない。だからこそ、己を知る必要があるように思う。ただ、逆転される雰囲気が濃厚な中、その後、実力ですぐに奪い返せるということは、それだけの力があるということだと信じたい。通常であれば、間違いなく逆転され、敗退しているところだと思う。悪いなりにも結果的には勝てたのだから今回は100歩譲って選手を称えたいと思う。

何はともあれ、これで準決勝へ駒を進めることが出来た。ここから先は、進んだことがない未知の領域になる。今の自分達でどこまで行けるのか?見えない部分はあるが、今は”今”の自分達を信じて、とにかく突き進みたいと思う。

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