5/18(日) 慶應義塾大学体育会ソッカー部 ○3-0(1-0、2-0)
reported by 川邊健一
東京都女子サッカーリーグ1部リーグが開幕した。昨年度は3位に終わったリーグ戦であるが実りの多いリーグ戦だったという印象として残っている。リーグ戦とは1年間を通じコンスタントに力を発揮しなければいけないということもあり、チームの真の力を試される場と言っても間違いはないだろう。そういう意味でも、昨年のチームは1年間を通じ成長を続け、特に後期にかけて成績は大きく伸びていった。
今年のチームは、先に行われた東京都女子サッカー大会でも初優勝を飾り、スタートとしては非常に充実した状態だ。昨年の成長に加え、益々、個の力は充実した状態にあり、高い位置でのパフォーマンスを発揮できるようになっている。また、リーグ戦において優勝を飾ることが出来るのであれば関東リーグへの昇格も視野に入ってくる。ここ数年、東京都1部リーグでは無敵だった早稲田大学が本年度より関東リーグへ昇格したことにより、どのチームにでも等しくチャンスが与えられた状態となった。無論、私はより強いチームとの対戦を熱望していることから、関東リーグへの昇格には大きな意味を抱いている。1部リーグでの目標は”そこ”にあると思っている。
その開幕戦となる相手は本年度より1部リーグに昇格してきた慶應義塾大学体育会ソッカー部女子。3週間前には1部リーグを想定した40分×2本のトレーニングマッチで16-0とスコア的には圧勝できたが、1部リーグに上がってきている以上、簡単に行く相手だとは微塵も思っていなかった。まずは選手達が下手な余裕を持たないよう気を引き締めることが全てであった。
相手は前回のトレーニングマッチで、特にDFラインでチャレンジしているテーマがあったのではないかと思っている。高すぎるラインコントロールをしていたが、それ故に1人のDFを交わせば4バックそのものを置き去りに出来る状態であった。もし、そのラインコントロールの部分を修正してくれば軽く10点分は防がれていたと思っている。極端な話、それだけで6-0となると思っていた。また、大量得点できた背景には、トレーニングマッチということもあり、得点を奪えば奪うほど相手の気持ちが切れてしまったということもある。しかし、それはあくまでも練習試合であるからであり、今回のゲームはリーグ戦であり、公式戦でもある・・・1年間の戦いを考えれば、仮に負けようとも失点を出来る限り少なくするという作業は行わなければいけない。勝てない戦況であっても最後まで集中力は切れないことは容易に想像できた。これらの重要な2点に関しては、試合前に散々選手達に伝えたが、どうしても選手達は16-0という幻想から危機感を持ちきれずにいた。これは私の伝え方が未熟あり、選手達を導ききれなかったミスである。
試合は、試合3日目に行ったフィジカルトレーニングの影響が思ったよりも強く、動きは明らかに重かった。前日の土曜日は余りにも疲労が抜けていなかったこともあり、全ての時間を回復に当てたが、それでも抜け切れなかったのはある。ここに関しても、大事な試合前の調整ミスと考えられるが、弱音を吐く選手達を見ていると少し悲しくなった部分はある。疲労の蓄積した中での試合などあるし、ましてやこれから更に上達しなければいけないことを考えると辛い中でのゲームこそ、心と体を鍛えるには最善である。心技体という言葉の”心”の部分は競技スポーツにおいて何よりも重要なものだからこそ、身体はきつくともハートだけは闘えるような選手達になってもらいたいと心から願っている。結局、ゲームは身体の切れ以上に集中力が散漫な状態にあり、明らかに『まず、勝てるだろう』という慢心を持った内容となってしまった。よって、本日の状態での100%で闘えていたかどうかというと、それはNOだろう。相手は、大学からサッカーを始めた選手もいるため技術的にはスフィーダの方が高いのかもしれない。しかし、それ故に”心”と”体”の部分は私達よりも強い。気持ちで闘わなければ勝てない、と相手ヘッドコーチが過去に言っていた。そこは見習うべき大切な部分だと思っている。相手の気持ちは強く、局面を身体を張って対応していた。あと一歩で得点・・・というところまでは何度も行けるが、気持ちで止められ続けた。前半1-0、後半2-0と戦前の予想通りのスコアとなったが、欲を言えば、もう1〜2点は欲しかった。ただ、優勝を目指す中での勝ち点3は何よりも大きなものだ。リーグ戦においては”内容よりも結果”そして”今年は勝利を目指せるチーム作り”という2つのキーワードを掲げているが、そう考えれば目標は達成しているのかもしれない。十分な結果だ。ただ、このゲームで何かが成長したか?というとそれは一切無いと思う。厳しいことを言うようだが”心”の無いゲームでは”体”の成長も有り得ない。
毎試合で成長していくチームを今年も見たい。新チームに切り替わり、成長し続け今年度に入ってからというもの結果を残し続けていることが、どこかで選手達の油断にならないよう私は選手達を観察し、正しい方向に導いて行く必要がある。今年も、もっと上手く、そして何よりも、もっと逞しく戦える選手達に導いていきたいと思う。翌週に控えたリーグ戦第2節で前期は終了するが、まずは勝つこと、そして、ゲームの中で成長できるよう万全の準備をして行きたい。