4/27(日) 都立飛鳥高校 ○2-1(1-1、0-0、0-0、1-0)

reported by 川邊 健一

東京都女子サッカー大会準決勝は、都立飛鳥高校との一戦となった。飛鳥高校の準々決勝をスカウティングした限りでは、昨年とは随分スタイルが変わった(昨年まではロングボール主体であったが、今年の飛鳥は細かく繋ぐスタイル)印象があった。ただ、今回の試合に関しては、激しく奪いに行くことで途中からロングボール主体の攻撃に変化すると想定していたが、ほぼ最初から長いボールを駆使した危険な攻撃を展開してきた。

前半開始直後、際どいロングボールに対しGKが飛び出しパンチングで逃れたものの、それを拾われ先制点を許すことになる。相手は序盤より、激しいプレスをかけてきており、いつものように繋いでいくことは難しいと思われた。しかし、それは時間の経過と共に緩くなってくると思っていたが、結果的には延長戦も含めて最後までフィジカルはもっていた。フィジカルに関してはスフィーダを遥かに超越したものを持っていた恐ろしいチームだった。それもあり、終始相手の激しいプレッシャーに苦しめられることになり、私達は自分達のスタイルを捨てざるを得なかった。この土壇場で、日頃はやらないスタイルに切り替えたわけであり、もたつかない部分もあったが、これはこれで素晴らしい経験が出来たと思っている。ここ最近は、どんな相手にでも繋ぎ、自分達のサッカーをある程度、形に出来ていたが、この試合に関しては、それを貫けば貫くだけ勝利は遠ざかると予測できた。そんな中、セットプレーから強引に押し込み同点としたが、その後のチャンスを活かすことが出来ず1-1で前半を終える。

後半に入っても、相手のフィジカルが落ちなかったこともあり、危険なシーンはあったが、試合を通じ、有効なシュートは前半の1失点のシーン以外にはほとんどなかった。結果的に後半に受けたシュートもペナ外からの枠を外れた1本に留まる。しかし、それ以上に危機的な状況が多かった。シュートは打たれていないが、中盤を飛ばすスタイルのため、1つのミスは即失点に繋がる可能性があった。だからこそ、シュート数とは相反し圧倒的な内容ではなかった。むしろ五分五分の試合のようにも写ったと思う。それだけ危機的な状況と隣り合わせの試合だったと振り返れる。最後まで走る切れる体力、局面の粘り強い対応力、を持った好チームであった。非常に良いチームだった。正直、これだけ自分達のサッカーが出来なかった相手はなかなかいないし、これだけ守備意識を高く持ったチームは少ない。ましてや、それにより自分達のスタイルを変えざるを得ない状況に陥ったわけであり、これだけやり辛い相手はなかなかいないと思う。結局、試合は両者得点が無く、1-1で延長戦へ突入する。

延長戦でもシュートまで行かれないものの一進一退の攻防が続く。決定機は作れるのだが、最後のシュートの場面でミスをしたり、バーなどに嫌われるシーンもいくつかあった。しかし、延長後半、またもやセットプレーの一連の流れから、最終的には目の覚めるようなシュートが決まり2-1とVゴールで勝利を収めることが出来た。PK戦に突入する可能性があっただけに安堵した瞬間だった。

試合を通じ感じたことは、技術の差はフィジカルの差でどうにでも埋められるということ、強いチームというのは守備の良いチームであるということ、そして、飛鳥高校は素晴らしいファイティングスピリッツを持った好チームである、ということである。このフィジカルを活かした前線からの守備は驚異的であったし、ここ最近ではどんなチームよりも嫌な相手であった。

今年のトップチームのテーマに『勝負に勝つ』という目標があるが、今回は勝てたことが素晴らしかった。結局、2得点はそれぞれ中学生が取ったものであるが、中学生4名がフル出場しており、朝の9:30からU15選手権大会を闘った後(前半のみ出場)のゲームであった。一日2試合は然程問題ではないが、このゲームのキックオフは19:00と約10時間の時差があった。それがコンディション調整の意味では難しかったが、それを跳ね除けたくましく闘ってくれたことは誇らしい。また、高校生以上の選手も9:00よりウルトラマン商店街(オフィシャルパートナー)の清掃活動を行っており、中学生同様に時間を持て余し、疲労を訴える選手もいた。こうした全員がコンディション的に万全ではない状態で、長い時間戦い抜けたことは良い経験だった。ましてや、こうした素晴らしいファイティングスピリッツを持ったチームと闘えたことが最高の経験になった。

非常に苦しい闘いであったが、置かれる状況を跳ね除け『勝利』をもぎ取れたことは良かった。今のチームには、そして、今日のチームにはそれが全てだと思う。素晴らしい経験をし、そして、決勝戦に進むことが出来たのは大きな出来事である。次も強い相手と試合が出来ること、、、それが最高の調整になる。この大会の最高成績は準優勝…もう準優勝は確定している状態であるが、ここまできたら狙うは優勝のみである。勝つこと、勝利を目指すこと、そして、優勝という結果、、、勝負に貪欲なチームを作り上げるには優勝を目指すしかない。無論、決勝の相手は強豪であるが、自分達のサッカーを展開し、何としても優勝というスフィーダ史上初の記録を残したいと思う。記憶に残るものではなく、記録に残るものが今は欲しい。決勝戦は、2週間後と時間が空けば、菅平への遠征もあるので、少しでもチーム力を上げ、万全の状態で決勝戦に臨みたいと思う。

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