12/23(日) FC PARTIRE

report by 楠本

1部リーグもようやく最終節を迎えた。相手は強豪パルティーレ。この勝者が3位となり入賞を果たせることになるが、それよりもこの1年間でスフィーダが如何に成長し、如何に前進してきたか?というものを確認するために全ての総決算という位置付けで試合に臨んだ。特に作戦はない。あるのは自分達の学んできたことを全て出し切り、ここ数年で一番良い時期ではないか?と思われるパルティーレに勝とう、ということだけだった。何故なら・・・3位になれば昨年までのトップチーム最高順位の4位という記録を超えられる。結果は重要ではないが、結果を得て初めて実感できるものもたくさんある。だからこそ勝ちたいと願ったのも事実であり、それがこのチームが残せる最高の足跡になると信じていた。
試合開始前、円陣から普段の様とは明らかに違うチームを感じ取ることが出来た。このゲームに懸ける意気込み、このゲームに対する集中力など色々なものをその瞬間に感じ取ることが出来、これは間違いなく素晴らしいゲームになるだろうと予測できた。相手は強いチーム、しかし、強いチームの方がスフィーダは好パフォーマンスを魅せてくれる。開始から今までのパルティーレ戦以上にボールを保持し相手の速いチェックを振り切って行く。相手を走らせ、前線にボールを入れるタイミングを伺い左右、中央から多彩な連携、局面の個人技で何度となく崩すことが出来た。今まで学んできた技術、戦術をいかんなく発揮し、今までのベストゲームとも言えるプレーを連発してくれた。このチームが最後に魅せたサッカーは高度な質の高いものだったと思う。そんな中、得点を重ね1-0、2-0としたところで直後にオフサイドとラップのミスを付かれ2-1となったが、流れはほぼ変わらず後半戦に3、4点目を奪い4-1と素晴らしい内容でスフィーダ史上初の1部リーグ3位という結果を得ることが出来た。終盤、運動量に勝る相手に苦しむ時間帯はあったがスフィーダらしいサッカーで勝てたこと、新たな歴史を刻めたことには満足することが出来た。
1部リーグも前期に行われた第1節は主力選手達が関東トレセンで不在となり、更にはチームも完成とは程遠い状態だっただけに敗戦を余儀なくされたが、後期は日本女子サッカー界屈指の早稲田大学戦も含め1度も負けることは無かった。後期の成績は6勝2分・・・十分に胸を張れる結果だと思う。早稲田大学と同じリーグにいる以上、1つの負けは優勝を手放すことになり、すなわち関東リーグへの道が絶たれることになる。第1節ですでにそのような状態に陥ったことは非常に残念ではあったが、世代交代をした直後ということもあり数年プランで考えていたので然程大きな問題ではなった。しかし、大きな目標を1つ失ったことも事実であり、やりきれない気持ちがあったのも事実である。ただ、それでも選手達は自分達の歩みを止めず前進していくことを選択してくれた。サッカーを続けていく上では大した出来事ではないのかもしれないが、こうした状態に陥った際に選手としての真価がとわれるのかもしれない。もし、一生懸命プレーすることに何かしらの理由が必要なのであれば、それはそれまでの存在でしかないということ。本当に好きなものであれば頑張ることに理由はいらない。必ず本能が導いてくれるものだと私は信じている。だから選手達は何も迷うことなく前進を続けた、その結果が”今のチーム”であり、この”成長”なのだと考える。
このチームはしつこいようだが、今年に一気に若返りをし主力の半数は中学生が占める非常に若い構成になった。昨年までいた一期生達が大学受験で地方に行く選手、一流大学を目指し浪人を選択する選手、専門学校へ進学し勉強のためやむを得なく辞めることになった選手など、諸々の事情からチームの改革を余儀なくされた。昨年のチームの個の能力は今年よりも格段に高かったのは疑う余地はないし、非常にまとまった良いチームだった。それだけに昨年のチームをどのように超えるか?ということをテーマに掲げ、たった9ヶ月間という短い歳月で”それ”を慣行するプランを打ち立てていた。当初はあまりの若返りに無謀な挑戦と思われていたことかもしれないが、選手達はあくなき闘争心と野心を持ち常に前進し続けてくれた。途中、自分達の力に失望したり、自身を見失いかけたこともあったが、お互いに手を取り合い自分達が進むべき道を自分達で見付けてくれた選手達に心の底から経緯を評したいと思う。
好きなものに理由は必要ない、まさにそうした本質の部分を本能に従い歩みをやめることのなかったチームが今のスフィーダである。だから、私達スタッフもこのチームを生涯忘れることなく、最高のチームの1つとして記憶しておきたい。非常に勉強になった、そして、最も思い出深い一年となった年だった。こうしたものをプレゼントしてくれた選手達にただただ感謝したいと思う。

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