10/28(日) FC PAF
report by 楠本
1部リーグ第4節は過去に4度対戦があり、何度も敗戦した強豪PAFとのゲームであった。相手は元日本女子代表、元Lリーガー(なでしこリーガー)、東京都国体選抜選手を何人も要する日本サッカー界をリードしてきた選手達による、また、まさに日本サッカー界の先駆けとなった強豪チームである。数年前には関東リーグに所属していたなど素晴らしい功績を残してきた尊敬すべきチームでもある。これまでの戦績としては過去に4戦し
2006年メグミルクカップ ○0-0PKで勝利
2006年東京都女子サッカー1部リーグ ●1-3
2007年東京都女子サッカー大会準決勝 ●0-4
2007年全日本女子サッカー選手権大会3決 ●1-4
と非常に相性の悪い相手と言える。内容で上回っていても勝負所でしっかりとセットプレーから得点を重ねられ、若い我々をねじ伏せて来た印象が非常に強い。勝負勘があり、サッカーを良く知るベテランチームという表現が一番適切だろう。相手からみればスフィーダの選手達は子供・・・大人対子供という表現になると思う。しかし、サッカーにおいて年齢は関係ない。大事なのは技術・体力・メンタル・知識・戦術などになる。この五大要素で勝てるのは技術・体力だけかもしれない。それでも普段から磨いている技術の部分を存分に出していけば、勝機はあると信じていた。いや、選手達の成長が順調であれば勝たなければいけない。これだけ連敗しているのであるわけだから何としても勝ちたい試合だった。
100%の力を出さなければ勝てない相手、それがPAFだ。だからこそ勝ちたい。勝つことが目的ではなく、100%を出さなければ勝てないということが重要だ。100%の力を出すということは選手の成長に直結する何よりの要素となる。いつも言うように『才能は100%を出さない限り伸びる事はない』それがスフィーダの基本的な考え方だ。もし、勝てるのであれば100%で戦ったということになるはずだし、勝てるということは単純に連敗してきた相手を超えたという証明にもなる。そして、自信を付ける。これらの大きなものをたった1試合の中で手に入れられるという最高のステージが今日のゲームだ。それだけ意味のあるゲームだったと思う。
前置きが長くなったが、試合は前半から押し込み主導権は握るものの10分にやはりFKから混戦を押し込まれ早々に出鼻を挫かれた。また、いつもの展開か・・・とも考えたが、今までよりも主導権を握る時間、シュート数でも優勢に進められていたので粘り強く戦えば問題ないと感じていた。すると21分に中3DFの直接FKが素晴らしい弾道を描いて吸い込まれ1-1に追い付く。その後も攻め、シュート数も重ねていくが、やはりサッカーを知り尽くした相手だけに真の決定機は少なくミドルシュートなど少し遠目の位置からのシュートが多くなる。
後半に入ると序盤相手も攻め込んできて一進一退の展開となったが、依然主導権を握っているのは我々だった。グラウンドは前日の台風の影響で凸凹が目立つ悪い状態であったが、ボールをしっつかりと保持し有効な攻撃が出来ていたと思う。ポゼッションのスフィーダに対しカウンターのPAFという図式だった。すると中盤からのスルーパスに抜け出した中3FWが2人のDFを振り切り、ゴール前へセンターリングを送るともう1枚の中2FWが詰め2-1と逆転に成功した。その後も同じような個人技からゴールマウスへ入れるもクロスを出す前にゴールラインを割ったとの判定で惜しい場面があったり、ゴール前の個人技&トリッキーな連携でGKと1対1を作り至近距離からシュートを放つシーンなど見応えのある攻撃が出来ていた。1度相手に決定機を与えるものの、それ以外は無難に対応できていたように感じる。最終的に逆転勝利ということで2-1の結果が残った。
総評として、スフィーダが毎回主導権を握るのも、得点機を多く逃すのも、多く失点するのも、全ては偶然ではない。それがスフィーダのサッカーであり、それが実力なのだ。しかし、そもそも主導権を握ったポゼッションサッカーが出来るというのは簡単なことではない。非常に難しい、困難極まりないことだ。それを大体の相手に出来るようになったことは成長だ。決定力の部分でもそれだけ数多くシュートを放つから外れている回数が多いように思えるだけであり、失点するのもそれだけ攻撃に人数を裂いているからこそのものである。もちろん、確実に得点しなければいけないシーンで外すこともまだまだ多いし、いらない失点もある。それは今後の選手達の成長と共に減るものであり、それが徐々に改善されれば当然もっと楽なゲームが出来たり、勝てる回数も格段に増す事だろう。しかし、今はこの中学生の多いチームでこれだけのことが表現できるわけだから現状では合格点を与えてもいいのではないかと思う。こうして成長の証として勝てなかった相手に勝ち、ましてや主導権を握り続ける事が出来た。それは素晴らしい。もちろん、今回は良い結果を得られたが、スフィーダのサッカーは内容的に勝っていても、試合に負ける事も少なくない。今回が良かっただけとも考えられるが、後期のリーグスタートとなった東京女子体育大学戦で尽くチャンスを逃し続けたクロスからのプレーを考えても、第3節で駒沢から2得点中2得点えぐり込んでのクロスから得点しているし、今回の逆転弾となる2点目も同じような形で奪ったものである。確実に課題を修正しながら前へ進んでいる。
そういう意味でもこれまでの2節ではゴール前での1タッチプレーに固執している部分があったので本日のテーマはアタッキングサードでの個人技とした。結果的に逆転弾は個人技で2人をかわしパスを送るという個人が活きた得点であるし、得点は出来なかったものの入っていてもおかしくないような決定機を生み出している個人技も数回あった。これらを踏まえても着実に1歩1歩個人・チームとに前進していることが見て取れる。良くも悪くもスフィーダのサッカーは諸刃の剣という表現が妙に当てはまるのだが、選手達のためには勝利よりも優先しなければいけないことが多い。勝つことも重要であるが、それよりも選手達が少しでも上達する手段を選択するのが我々の役目だと思う。このポリシーは今後も持ち続けていかなければいけないことである。
次節は1週間後に早稲田大学ア式蹴球部とのゲームとなる。日本屈指のチームである。前回はトーナメント戦の準決勝での対戦だったため、どこまで戦えるか守備的なスタイルを選択した。しかし、今回は攻撃的な普段のスタイルでどこまで戦えるかチャレンジしてみたい。早稲田相手にどこまで出来るか、何を残せるか、今のスフィーダの真価を問われるゲームになるかもしれない。100%で勝てないのであれば120%で戦うつもりで胸を借りたいと思う。