7/22(日) 早稲田大学ア式蹴球部女子

report by 楠本

全日本選手権大会準決勝は台風の影響で1週間延期され早稲田のホームグラウンドで実施された。相手は昨年の同大会で東京都予選で優勝し関東地区予選を通過し、全国大会へ進出した日本屈指の好チームである。2年前には大学チャンピオンにもなっている。当チームのトップチームはトップチームと言えど中学生年代の選手が多数在籍するチームであり、大学生と比較すれば子供と大人のような違いすらある相手。出来る事であればこうした強い相手と真っ向勝負をしてみたいものであるが、勝利を目指すという最大の目標を果たすために早稲田戦だけの戦術を採用する事を決意した。それは簡単に説明すれば守備的なシフトを敷きカウンターアタックで少ないチャンスをモノにしていくというもの。もし、早稲田に勝つとするのであれば現段階ではそれしか勝機を見出す事が難しいと判断した。
前半、選手達は開始から集中し本気で勝利を目指そうとしていたが、開始直後の2分に相手の攻撃に慣れる前に出鼻を挫かれる形で早々に失点。これは痛恨の失点であったが、その後は約35分間、相手の攻撃に慣れ順調に戦術的に戦うことが出来た。自陣ゴール前から離れず、限られた人数でシンプルに相手守備陣の裏を取るサッカーは見応えのないサッカーなのかもしれないが、選手達は勝利を信じ僅かな可能性を追求し続けてくれたと思う。スタッフ間の話では守備的に戦っても必ず前半2回、後半2回は決定的なチャンスを迎えることが出来る。少なくとも1点は取るつもりでいたので、0-1までは一向に問題のない展開であった。しかし、終了間際に失点し0-2となり前半を終える。少なくともその失点により後半のスタイルを変えざるを得ない戦況に陥ってしまった。

後半、0-2であれば勝負をかけるしかなくなり、リスクを犯して得点を狙うサッカーに切り替えた。守備的なシフトであっても1点は奪える可能性があると考えていたが、2点はさすがに非現実的だ。だからこそ、勝負をかけることになったが、それは得点を挙げられる可能性が高くなると同時に失点のリスクは格段に多くなる。それを覚悟の上での決断であるが、前半終了間際の失点が、このゲームのプランを大きく崩す事になった。それでも攻撃的なシフトに移行すると局面で相手を崩せるようなシーンが増え、得点に対する期待感は前半よりも格段に高まる事になった。相手との打ち合いとまでは行かないものの崩せるシーンが出てきたことがこれまでのトレーニングの成果だと思う。しかし、スタイルを変えること=打ち合いを挑む事になり、最終的に1得点出来たものの4失点を喫する事になってしまった。
守備的なシフト、攻撃的なシフト、両方とも最低限の機能は果たしたと思うが、それでも早稲田大学の方が全てにおいて私達を上回っており、結果は波乱なく1-6という妥当なスコアに落ち着いたように思う。可能性を追求し、波乱を演じられるように2週間の間準備してきたが、それは簡単なことではなかった。もちろんそれは事前から分かってはいたが、私達スタッフも選手達も勝利を目指し闘ったという事実が重要だ。目標は果たせなかったが、この準備期間である2週間は私達に新たな視点のサッカーを考えさせてくれた重要な期間だった。
これで3位決定戦に回る事になったが、相手は優れた戦術眼を持つ強豪PAFとの一戦となる。PAFとは春の大会で対戦し0-4で負けた相手であり、当時は歯が立たなかった相手なのでチームの成長をうかがい知るには最高の相手だと思う。ここまでは勝つためのサッカーをしてきたが、最後の1試合は自分達の成長を確認する場と位置付けたい。PAFという尊敬すべき相手とどこまで戦えるか楽しみだ。

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