7/1(日) 都立晴海総合高等学校
reported by 楠本
全日本女子サッカー選手権大会東京都予選の初戦が遂に訪れた。トップチームとしては待ちに待った最大の大会である。この大会には春先の東京都女子サッカー大会で優勝、準優勝に輝いた早稲田大学ア式蹴球部やFC PAFといった言わずと知れた強豪チームが顔を揃え、関東大会へ続くたった1つの席を争う事になる。スフィーダはこの大会にて関東大会へ進出する事を目標としているが、それは言葉に出来るほど簡単なものではない。実力以上のものが出せなければ、そこに辿り着く事は不可能だと理解している。ただ、いつも監督が言っている様に可能性が1%でも存在するのであれば、可能性を追求することが重要であり、それが1%の可能性を持つチームの義務だとも思う。だからこそ、戦わなければいけないし、どんなに追い詰められた状態でも戦い続けることで未来への道を切り開いていけるのだと信じている。
その初戦であるが、相手は都立晴海総合高等学校。高校の新人戦では準優勝し、高校選手権東京都予選でも好成績を収める強豪高校であった。我々は1回戦を免除されているため、2回戦からのスタートとなったが、この試合を迎えるにあたりいくつかの不安要素があったのは事実である。
(1) 2ヶ月以上実戦から離れていたこと
(2) U-18東京都選抜で召集された複数名の選手が不在や主要選手の怪我
(3) 監督が諸事情により不在
この3点が不安要素であり、どれも初戦という事を考えれば外せない重要な要素であった。しかし、これを乗り越えることが出来ればチームとして自信が付くし、また新しい発見が出来ると思っていた。
試合は前半からリズムを持つ事ができ、珍しく開始3分で中2の選手が個人技から先制点を奪うことが出来た。その直後にも同じ選手がミドルシュートのこぼれ球を押し込み加点。更には左からのクロスにまたまた中2の選手(1、2点目の中2とは別選手)がヘディングで合わせ3-0。その後、しばらくしてCKから見事なヘディングで得点し前半だけで4-0と引き離す事に成功した。ゲーム自体は前半は良いところもあれば悪いところもあるという平均的な内容であったと思う。うまい具合に相手の攻撃は早期に芽を摘むことが出来ていた事もあり、ほぼワンサイドゲームという内容で戦えた。下の攻防はインターセプトし、上のロングボールも確実にはじき返す事が出来ていたのがリズムを掴む要素だったように振り返っている。
ハーフタイムでは、戦術的な修正の他、監督ならどう話すか?ということを考えて一番大事なことを伝えた。それは『前半の内容や点差を考えても勝利は目の前に来ている、ただ、こうした状況の中で監督なら必ずここで何ていう?勝利が見えて勢いを緩めるのは普通のチーム、真に強いチームはここで緩めない、更に得点を重ねよう、そこを目指そう』と。
しかし、後半は残念ながら弱いチームになってしまった。勝利に安堵した戦い方では得点を積み重ねる事が出来ず、結局2得点しか挙げられなかった。相手にチャンスを与える事も前半と比較すれば多くなったし、危機感を持ったプレーが明らかに減ったように思う。それは攻守に如実に現れた。蒸し暑さから走れなくなったという事もあったと思うが、それ以上に蒸し暑さに負けた精神力が問題だったと思う。精神論になるが、それに勝てなければ強くはなれない・・・これも監督が常日頃言っていることだ。
最終的に6-0というスコアで勝てたが、もっと取らなければいけないシーンがあった。少なくともあと1〜2点足りない。但し、褒めなければいけないこともある。最大の不安要素であった監督不在を選手達の力だけで乗り越えたことは見事であった。序盤は色々な面から動きに硬さが見られたが、こうした初めての経験を選手達は乗り越えて見せた。相手も組織された素晴らしいチームであったが、少しだけ我々のモチベーションの方が高かった。世代交代をしたことは以前から言っているが、中学生世代の選手達が攻撃の核を握る若いチームなだけにこれはスフィーダにとっては大きな事だ。この点はこのゲーム1試合だけで成長した部分だと思っている。そして、こうした新しい経験の積み重ねだけが選手達を成長させていくのだと思う。
これでベスト8ということになる。次は強豪ソシオスとの一戦になるが、ここを勝てなければ意味がない。今は内容よりも結果が大事だ。この全日本選手権というものはU-15世代にしてもU-18世代にしても結果が大事だ。その年齢制限が無い最大の大会だけに次も内容よりも結果を意識して戦いたい。無論、内容が良くなければ、結果も出ないのは当然だが、仮に内容が残せなくても結果を残したいと願っている。今回は監督の不在もあり、私自身非常に苦しい部分もあったが、先へ進めたことに今はただただ安堵している。