1/6(土) 日本女子体育大学

reported by 川辺

東京都1部リーグ最終節はすでに4位が確定しているスフィーダ対すでに降格の決定している日本女子体育大学との試合となった。お互いにこの1戦で何かを得られるわけではない。消化試合と言えるゲームだ。しかし、そういう状況だからこそチームの真価を問えるのかもしれない。もちろんスフィーダの選手達には常々どんな時でも全力を出し尽くすということを指導しているが、己をコントロールするということは言葉にするほど簡単なものではない。己を知り、己を倒すほどのパワーがなければ”それ”は成し得ないことのような気がする。簡単なようで簡単ではないことではあるが”それ”を成し得ない限り、この勝負は何回やってもただの消化試合にしかならない。全力で闘い、全力で向かっていくことで、そこに成長が待っているのであれば、このゲームにも大きな意味がある。そういうモチベーションを自分の中で創り出していくことで私達は成長し続けてきたと信じている。だから、このゲームは消化試合ではなく、重要な公式戦なんだと認識していた。
試合は開始から我々の攻撃パターンがはまり相手の力をねじ伏せることが出来ていた。序盤は相手にも運動量があり、速い寄せからミスを誘発されてしまうことも少なくなかったが、我々の支配力のほうが強かったと振り返ることが出来る。しかし、先制点を奪ったのは相手だった。小さなミスが失点に繋がるということはチームの誰もが理解しているはずだが、先制点のみならず、2失点目も小さなミスから連続して奪われてしまった。その奪われ方はチームのサッカーをしようとしてミスをした・・・というものではなく、それ以前のミスだった。1部リーグレベルのチームになると小さなミスを見逃してくれない、少しのことでも確実に失点に結びつく・・・逆に考えればそれだけ得点能力の高いチームが多いということだと思う。しかし、ゲームの流れやシュートの本数などを考えれば確実に我々に分があった。結局0-2で折り返すことになったが、ゲームの内容と点差が比例していない稀な前半戦だったように思う。
後半に入り、更に相手を圧倒し相手陣内での攻防が長くなった。何度も何度も相手守備陣を崩し決定機を演出出来ていたし、相手の嫌がる攻撃を繰り返すことが出来ていた。結果的に後半には相手の5倍のシュートを放つことが出来た。スフィーダが得点を奪うまでには多くの時間を費やしたが、見事なまでに相手を崩し、素晴らしい先制点が後半15分に生まれた。その後はコンスタントに得点を重ねていくかと思ったが、2点目までも時間はかかり、逆転弾となる3点目も試合終了5分前だった。結局3-2と逆転し勝利で今シーズンを締めくくることが出来た。
結果的に勝つことは出来たが、いくつか気になることがあった。それは決定力不足だ。良い崩しは出来ていたような気がするし、点差ほど厳しいゲームではなかったように思うが、シュート数が24本に対して3得点というのは問題だと思う。相手は前半4本のシュートを放ち、2得点している。もっと言えばこれらのシュート以外に何本も触れば得点というような際どいクロス(決定機)が何度もあった。これはシュート数に換算されないので決定機の数は数えきれない。しかし、結果としては3得点に留まることとなった。私のチーム作りは、まず多くの決定機を演出することが全てであり、得点という結果にこだわらず、相手よりも多くのチャンスを作り、その中でいくつか決まれば良い・・・というものだった。要は単純な結果(1点)よりも、ゴール付近まで何度ボールを運べたか?ということに重点を置いていた。そういう意味では今回のゲームは100点に近いようなものだったのかもしれない。ボールの動かし方、チームの連携、相手の崩し方などは確実に向上していると断言できる。ただ、今までも得点力不足という言葉で得点できない現状を放置してきてしまったがこの試合で明らかになったことが1つある。それは私が考えていた以上にスフィーダには得点力が無いという事だった。気付いてはいたが、どこかで軽視してきた自分もいる。正直、ここまで得点能力が低いか・・・とうなだれるほどの内容だった。ただ、前向きに捉えれば、それは私の中でも選手の中でも大きな危機感となり、一刻も早く修正しなければいけない重要なことなんだと気付かせてくれることだった。
これまで接戦をものに出来なかったことがうなずける。また、だから納得のいかない負け試合が多かったのだと思う。相手の力を凌ぎ、高いレベルのサッカーしているにも関わらず負けていた。本来であれば今シーズンで勝てるチームを作り上げなければならなかった。一番結果の欲しい年だったからだ。チームは確実に成長しているし、歩んでいる道に疑いはない。しかし、勝てるチームを作っているつもりが、結局は良いサッカーをするためのベース作りに留まっていたことに気付かされた。それに気付くのがあまりにも遅すぎた・・・選手達には申し訳ないことをしたと深く反省している。年々選手達の技術が向上し、見ている私のイメージを超えたプレーも見せるようになってきた。しかし、荒削りで前に突き進む昨シーズンのチームの方が得点や勝負感という意味では強かったのかもしれない。レベルが上がることで求めるサッカーが上がり、チームのサッカーに余計な手順を加えてしまった。だから、勝たなければいけない試合に勝てなかったのだと思う。しかし、それはチームとして結果を得るということに固執した場合にのみ言えることだと思う。言い訳をするつもりはないが、今のサッカーで選手達は多くのことを学び、素晴らしい成長を手に入れることが出来た。これは上へ行くためには避けては通れない道だと確信している。結果を出させてあげられなかったことに関しては本当に申し訳ないと思うが、今シーズンは全てが一番成長したシーズンだったと断言できる。勝てるだけの手っ取り早いサッカーではないだけに思ったような結果は出なかった。しかし、それでも私は今のサッカーに疑いを持つことはない。真に勝てるチームは作れなかったが、ベースは出来ている。もう何も言うことはない、来シーズンこそスフィーダが一番にならなければいけない。リーグ戦では貪欲に優勝を目指し、関東リーグ昇格という大きな目標を成し遂げたいと思っている。今は来シーズンに向けて静かに勝てる準備を進めるだけだ。

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