11/25(土) FC PARTIRE
reported by 川辺
東京都リーグ第7節は古豪パルティーレとの一戦であった。相手は社会人、大学生選手がチームの核を担い、それに中高生が加わった非常に手強いチームである。毎年、好成績を残し東京都でも屈指のチームと言える。今年度のリーグ戦でも上位に食い込む可能性の高いチームと互角の勝負をし、今年もその強さを示している。
我々の試合前直前トレーニングでは諸事情によりキャプテンやU-15日本代表候補の選手が不参加であった為、この2名を抜いて調整していた。その時の調整が現段階では100点に近い状態であり、やっとU-18関東大会での敗戦を乗り越えられてたような印象を受けている。関東大会での敗戦はあまりにも選手達にはショックな出来事であり、敗戦後ずっと引きずってしまっていた。仕方のないことではあったが、トレーニングにしても試合にしても選手達は集中できていなかった。それがようやく良い方向に向き始め”次”を意識したトレーニングが出来るようになった。だからこそ、今回はチームの主軸とも言える2名を外し、この良い流れをそのまま試合に出したいと考えた。
試合はやはりトレーニングの良い流れを継続できていたように思う。攻撃面よりも守備面での課題をクリアー出来ており、久々に安定した守備陣を見れた。相手は典型的なキック&ラッシュのスタイルであるが、守備陣の対応は素晴らしかった。まさにトレーニングで行ったことをそのまま試合に反映できた試合だと言える。どんな相手でもキック&ラッシュのチームは苦手であり、常に怖さを伴う戦いを余儀なくされていたが、今回に関してはロングボールに対する恐怖心がほとんどなかった。むしろ安心して見ていられた。守備陣が安定し始めたことにより攻撃陣も攻撃に集中することが出来ていたが、こちらは若干”良さ”が消えていた。もちろん繋いで繋いで相手を崩し、何度と無く決定機も演出できた。その中で2得点したが、まだまだ得点が取れるような本当の決定機が何度かあった。前半のうちにあと1点でも取れていればもっと量産できる試合になったと思うが、相手の守備も粘り強くなかなか難しかった。
後半に入ってもしばらくは前半と同じような戦況が続いた。相変わらず守備陣は安定していたが、徐々にロングボールに対してこちらも蹴り返してしまうようになり、相手に呑まれてしまったような印象がある。それにはいくつか原因がある。まず、オフェンス陣が体力の消耗に伴い動けなくなることで前半にあったサポートがなくなる、それがビルドアップ時のパスコースを消し、選択肢を減らした。選択肢が少ないからこそ”蹴り返す”ということになってしまった。攻撃と守備は常に表裏一体であり、どちらかだけが良くても、悪くてもいけない。しかし、今日に関しては守備陣の戦術的な強化により守備陣が試合を支配することができていた。攻撃はあまり良くなかったが明らかに攻撃を守備が上回ったということだ。だからこそ確実に勝利を手繰り寄せることが出来た。3点目を奪い、3-0と突き放したところで勝負は決まった。そこからPKを与えてしまい3-1となったが、この失点は問題なかった。何故なら崩されての失点というよりもアクシデントのようなPKを与えただけだからだ。それ以外の対応では現状を踏まえると十分に満足しなくてはならないパフォーマンスだった。
我々はリーグ戦が終盤に差し掛かり、残り2試合となったが私は結果はどうであれ、とにかく良いサッカーが見たい、トレーニングの成果を見たい、もっと言えば選手達と共に作り上げたものを試合の中で表現している姿が見たいだけなのである。もちろん試合に勝つことは重要だ。重要な大会で結果や成績といったものを残すことも重要なことだ。しかし、本当に重要なのは選手達が選手としての能力を高め、1つの試合の中で『良くなった』『何かが出来るようになった』と感じてくれることだと思う。その結果として、その後に勝利というものが待っていると思うし、トップチームと言えど対象となるのは中高生という育成年代の選手達。勝利を目指すことで育成できる部分もあれば、育成を考え勝利を我慢しなければならない時もある。但し、トップチームである以上、常に貪欲に勝利を目指す必要がある。色々なものが複雑に交わるのがこのトップチームであるが、難しさの向こう側に真の強さが待っているのだと信じている。だからこそ日々試行錯誤し様々なことにチャレンジし多くのものを感じて行く、共に築いて行くということが重要なんだと思う。だからこそ次の一戦でも”何か”を掴み、感じ、共に分かち合い、自分達の築いてきたものを精一杯表現したいと思う。それが今のチームには一番重要なことのような気がしている。