10/1(日) 横須賀シーガルズFC

reported by 川辺

関東大会2回戦は関東リーグに所属している横須賀シーガルズFCとの一戦。相手は日頃から我々よりもワンランク上のチームとリーグ戦を行っているということもあれば、ここに至るまで数々の強豪高校と対戦し、尽く粉砕して来ているチームでもある。U-18年代のチームでは間違いなく全国トップレベルの力を持ち合わす相手だということは理解していた。だからこそ、我々はこの2回戦が最大の山場であると考え、この2回戦を乗り越えること=全国トップレベルだと考えていた。もちろんこの試合に勝てど、3回戦は強い相手が待ち受ける。一概にシーガルズに勝てばどうのこうの・・・というわけではないが、ここで勝つことさえ出来れば1週間の猶予が与えられる。まずはこの1回戦、2回戦に標準を合わせて来ただけに、ここでの勝敗は今後のスフィーダにとって非常に大きな意味を持つものと考えられた。
相手のことは事前に集めた情報と1回戦時の試合を分析し、大よそのことは理解できていた。全体的なレベルが高い、パス&ゴーなどの狭いエリアでの技術などフットサルに近い印象を受けていた。その高い技術に加え、シーガルズを語る上でもっとも重要な破壊力抜群の2トップに注意する必要があった。ただ、注意したとしてもその2トップの個性は極めてレベルが高く、止める事は困難だと考えていた。現実的に考え、絶対に失点は許すことになるだろう・・・と覚悟していた。その反面、守備力には問題を抱えているような印象を受けた。ここで難しいのは、守備を優先した戦い方を取るのか?それとも攻撃を優先し点の取り合いを挑むのか?という判断だった。選択した戦い方は・・・もちろん点の取り合いで真っ向勝負を挑むというもの。守ろうという気は毛頭なかった。どういう結果になろうとも自分達のスタイルを貫かない限り負けた場合は必ず後悔だけが残る、それに自分達が1ヶ月間かけて関東大会の為にトレーニングしてきたことを試してみたかった。この大一番でそういう後悔だけは残したくない。東京都予選から1ヶ月間・・・トレーニングしてきたのは攻撃面のみ。だったら、その攻撃を出し切り燃え尽きようと考えていた。相手の得意なスタイルで真っ向勝負すること正しいのか、悪いのかは分からないが、断言できるのは点の取り合いになるであろうということだった。
試合は基本的にシーガルズ主導の展開であったと言えるだろう。やはり、相手の個々の技術は高く、チームとしての成熟度も高いと感じていた。昨日とは違い、更にその連携は増しているように写った。冷静に分析する限り、連携が向上しているというよりは中途半端な小雨でスリッピーになったピッチでは技術面の差が出たというのが正直な感想ではある。相手の成熟度は高かったと言える。それと比較して、我々の攻撃は付け焼刃であり、また、スリッピーなピッチに対応しきれていなかったという印象だ。そんな中、先制点を奪ったのは我々。CBのインターセプトから個人技で抜け出し、鋭いグラウンダーのミドルシュートで先制した。鳥肌の立つような素晴らしいゴールだった。我々が相手のゴールを割るということは分かっていたが、相手がスフィーダのゴールを割るというのも分かっていた。だから、これで安心することなく、冷静に追加点を狙うことが重要だった。先制点の直後は明らかにスフィーダのペースとなり幾度かの決定機を演出するが、そこでは得点が奪えず、逆に相手に抜け出され同点弾、CKから勝ち越し点を奪われてしまった。あっという間の出来事であり、あまりにも早かった。その後はシーガルズ主導のサッカーが展開されるものの、そこに大きな差はなく一進一退の展開が続いた。相手のポゼッション力には勝てなかったが、我々の鋭いカウンターには相手も手を焼いていたように思う。前半の終盤にはカウンターからファールを誘い、FKを直接決め2-2となる。前半も残すところ僅か・・・追加点を狙うというよりは、このまま前半を終えることだけを望んでいた。しかし、無情にも前半終了間際に抜け出され2-3というスコアで折り返すことになる。
ただ、これは想定内の範囲であり、前半終了時点でスコアを引き離されていないことが重要だった。これは試合前に選手達にも伝えたことであり、予定通りに進んでいたことは間違いない。しかし、選手達はこの点差に危機感を覚えていたようだ。今考えれば私もそうだったのかもしれない。やはり、終盤での勝ち越し点は思った以上に堪えるものなのは間違いない。私は『これなら行ける』、『十分に勝てるチャンスはある』と話したが、選手達はこの1戦に冷静さを欠いていた。それはここに至るまでの1年間、ずっとこの大会だけを考え、目指し、そして、耐えてきた為だ。この1年間の想いは選手達に大きな重圧を与え、必要以上の苦痛を感じさせてしまっていた。
後半に入り、一番不味いことが起こった。開始直後の失点だ。これで2-4と引き離され戦況は益々難しさを増して行く。相手の攻撃を恐れ、トレーニングの成果が出てこない、冷静さを失いすぐにボールを奪われる、スリッピーなピッチに我々の良さがかき消される・・・何とか1点を返し3-4となるが、3-5となると同時に集中力は一気に低下し、3-6となり何とか返し4-6とするものの終盤に追加点を許し4-7での敗戦となった。
前半の半ば以降から後半の序盤までは運動量で勝り、互角の勝負が出来ていた。しかし、相手のパスに走らされ徐々に体力に低下が見られるようになり、最終的に走れなくなってしまったのは我々の方だった。前日の1回戦から体力面のことを考慮し、うまく試合を運ぶことが出来ていたが、この重要な一戦での緊張状態の中での消耗は凄まじいものがあるのだと感じた。点を取っても、すぐに返される、追いつけど引き離される・・・この試合では一瞬でも気を緩められる瞬間というものが存在しなかった。
本日の2回戦で敗退したことにより我々は消えることになった。この結果には満足できないが、選手達の闘う姿勢には何の疑いもなく、素晴らしいものを見せてもらったと言える。相手の2トップは私が想像していたよりも遥かに高いレベルにあり、正直ここまで止められない相手だとは思っていなかった。2トップに7得点全てを奪われたが、この2トップを抑えられない限り勝つことの難しい相手だったと振り返っている、また失点のパターンも7点中6点がDFラインを抜け出されたもの・・・分かっていても”それ”は止められなかった。守備面でのラインコントロールの設定などに私の甘さが出た結果だと感じている、結果論でしかないが。また、中途半端な雨(水溜りが出来ない程度)が私達にとって最大の敵になったことも否定できない。相手はグラウンダー中心の細かい連携を得意とするチームであり、この状態を苦にしていなかった。しかし、私達のスタイルは若干違う。もちろんシーガルズのように出来ればよかったのだが、シーガルズのスタイルは昔から徹底されたものであり、その戦術の成熟度には少なからず差があった。正直、スフィーダのスタイルやここまでトレーニングしてきたことはスリッピーなピッチと極度の緊張状態で相殺されていた。今の未完成の戦術でも今のスフィーダなら勝てるはず、、、そう考え、ある意味、中途半端な状態で挑んだ関東大会であったが、今新たにチャレンジしていることはそう簡単に出来ることではないということがわかった。考えなくとも自然と身体が動く状態にまでチームの成熟度を上げられなかったことが一番の敗因であり、相手との差はそこであったと言えるだろう。強力な2トップの存在も忘れてはならないが、最大の原因はチームの成熟度の問題と私の認識の甘さだったと思う。選手達は今出来ることを100%やりきろうとしていたし、私と共に築き上げてきたサッカーを実践しようと全力を尽くしてくれた。選手に落ち度がないからこそ、私は責任を感じ、背負い、これからも新たな目標に向かって行かなければならないのだと思う。
非常に残念な結果であり、出来る事なら巻き戻したい出来事であるが、今は不思議な気分でいる。負ければ当然反省し、その反省材料を生かすために少なからずとも何かしらのチャレンジを行ってきた。もがき、苦しみ、戦い、自分の納得できるところまで考え抜いた。しかし、今回だけは自分の目指すスタイルやサッカーに見直す必要のあるものが感じられなかった。今のサッカーを徹底して行き、それをスフィーダの新たな形として確立することさえ出来れば、急激に力を伸ばしていけるような気がしている。長きに渡り指導を続けてきて今回のように自分に対して疑いを持たなかったのは初めてのことだ。今まで信念を曲げてきたことはないが、常に柔軟に対応してきたつもりだ。それが今回は少し違う・・・これはスフィーダというチーム自体が今までと少し違う成長を遂げるチャンスなのかもしれない。この敗戦は過去に無いほどの大きな傷となったことは間違いない。しかし、大きな傷だからこそ、私達は自然と大きな回復力で成長して行くことだろう。自然治癒力とでも言うのだろうか・・・。
昨年は関東大会終了後、燃え尽きたように1部リーグで結果を出すことが出来なかった。だから、今年はその反省を生かすと共に、この敗戦から学んだ悔しさを力へと換え残り5節を全勝したいと思っている。やはり、1部リーグで止まっていては今後の成長はない。今まさに関東リーグへの昇格が必要なんだと強く感じている。次のステップへ進むことが当面の目標となるが、時間がかかろうとも1部リーグで止まっていては先はない、、、そう感じた大会であった。

スフィーダ設立から5年半、1期生の選手達も高校3年生となり、今までの総決算として今大会を戦いました。結果は残念なものでしたが、私は更なる高みへ登り詰める為のきっかけを得ることが出来たと思っています。1つの区切りを終えることとなりましたが、ここからがスフィーダ世田谷第2章の始まりです。第2章へと歩みだせることを幸せだと感じながら、支えられ、闘い、私達は必ずや最終目標を果たすでしょう。まだまだ戦いは始まったばかりです。
最後になりますが今大会も差し入れや送迎等でご協力頂きましたご父兄の皆様方には感謝すると共に厚く御礼申し上げます。選手共々私達スタッフも本当に助けられました。目標を達成させられなかったことに関しては本当の申し訳なく思っておりますが、上記にも記したように選手達には何の落ち度もありません。万全を尽くして準備したつもり・・・つもりでは駄目なんです。万全を尽くして準備した!と断言できないと・・・。私は今後も更に厳しく選手達と闘って行きたいと決意を新たにしています。厳しいだけに選手達にとっても楽ではありませんが、今後とも選手達の成長を見守って頂けますよう改めてお願い申し上げます。その成果として必ず私達が笑える日が来ると信じています。
応援ありがとうございました。そして、引き続き応援の程、宜しくお願い致します。

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