9/30(土) 宇都宮文星女子高等学校

reported by 川辺

2年連続で出場を果たした関東女子ユース(U-18)選手権大会が遂に開幕した。大会は1回戦、2回戦が連続して行われ、全国を懸けた準決勝は翌週、決勝は来月という日程で行われる。私達の目標はこの関東大会で3連勝し2枚しかない切符の1枚を手に入れること。ただ、それは簡単に出来るようなことではない。関東大会は各都県の代表チームが集う極めてレベルの高い大会である。1回戦からノックアウト式のトーナメントで行われるため、どの試合も油断することは出来なければ、常に全力を出し続けられるチームしか勝ち上がっていくことは困難なことだと思う。
その1回戦は昨年同関東大会の2回戦で対戦した経験のある宇都宮文星女子高等学校。今年も栃木県第一代表として参加してきたが、栃木県のチームであるためどのような戦力・チーム力を有するチームなのかは未知であった。尚、昨年の対戦では1-0で辛うじて勝利を得ることが出来た相手だ。決して、侮ることは出来ないし苦しい戦いになるであろうと想像していた。
その要因として考えられるのは、
(1)昨年の試合では1回戦で主力選手達を負傷で失い厳しい状態での対戦ではあったにせよ4:6でゲームを支配されてしまっていたということ。
(2)1回戦、2回戦でワンクールと考えていた為、この1回戦と2回戦でうまく戦力を分散させ、休ませながら戦うことを決めていたこと。
この2点から考えても決して簡単に行く試合ではないことが容易に想像できた。
私達のストロングポイントは
(1)昨年は高2が最高学年のチームであり抜けた選手がいないこと。
(2)逆に相手は高3選手を失っていたこと。
だと思う。
但し、私達も主力の半数の選手を休ませて戦うことを選択していたのでストロングポイントは無いに等しい状態だと考えていた。正直、五分五分の状態であることが予想できたが、私達の最高のストロングポイントはチームが1年間で大きく成長しているということ。昨年は主力選手を3名失ったことで自分達のサッカーが全く出来なくなってしまっていた。チームも選手層も格段に成長した、、、そう思うからこそターンノーバーを採用して戦うことを決意した。これは相手を侮るということではなく、昨年からの成長とリザーブ選手達の力を信じているということであり、更にはこの1回戦、2回戦を1つの試合と考えていたからに他ならない。補足するのであれば40分ハーフという過酷な勝負を2日間連続で戦い続けることは現実的に厳しい。2回戦までを一区切りで考えるのであれば、ここで体力を使い切ることなく次のステップへ進めることが望ましい。これが出来れば2回戦では多少なりとも相手より有利な状態を保てると考えていた。万が一、これで負けるようなことがあれば批判を一気に浴びることになり、選手達にも苦しい想いをさせてしまう・・・それは百も承知であったが、それでも私はこの関東大会に帯同してきた選手18名の力を信じ、このチームが1年間でどれだけチームとして成長し、どれだけ選手層の課題もクリアーしたのか敢えてこの関東大会という大舞台で試してみたかった。
試合が始まると考えていた以上に相手を圧倒する姿があった。前半15分までに続々と得点を重ね4-0と突き放すことで勝負は決まったと感じた。選手達はこの関東大会という大舞台で見事なまでにその成長を示し、戦力を二分したということを感じさせないパフォーマンスを披露してくれた。開始から勢いと気迫で相手を圧倒しようとする姿勢は見事だった。それが結果として一気に4得点という普段以上の早いゴールラッシュを産んだことは間違いない。しかし、落とし穴はそのあとに潜んでいた。4-0と試合を決定付けたことで明らかに選手達の心に隙間が出来た。確かに内容や点差を考えても負ける可能性は極めて低くなった。トーナメント戦なのだから必要以上に得点を奪い続ける必要はないのかもしれない。しかし、それでもあまりにも選手の意識レベルが下がったことに不満が残った。元々、得点は奪えていたが、最終局面でうまく行っただけで私達がやりたいことが全て出来たわけではない、いや、やろうと務める選手が少なかった。まだまだ私達のサッカーは完成されておらず、意識して戦わなければ”それ”は出てこない。オートマニズムという用語があるが、そのレベルに達していなかったのが露呈された内容となってしまった。
後半に入り更にチームの核となる選手を一気に4名交代させ、前半のチームとはまた違う顔のチームへと変貌した。後半の選手達は主にリザーブの選手達+レギュラー数名という布陣。しかし、リザーブ主体な故にメリットが存在する。まず大量の交代で選手達の運動量が確保されたこと、次にレギュラー奪取を目指す野望のある選手達が全力で戦い続けてくれたということだ。冷静に分析すれば前半のチームよりパワーや迫力は劣るが、技術や戦術では上回っていたように感じる。その証拠として後半に5点を奪うことが出来た。前半の半ばから終了まではただ時間だけが過ぎた内容だったのに対し、後半戦は戦術的に納得の行くものであった。選手個々のイマジネーションや新たな戦術を表現しようと走り回ってくれた選手達は素晴らしかった。
こうして関東大会の初戦は予定通り、いや、予定よりも大幅に早い段階で選手達を休ませることができ、1回戦のプランとしては完璧とも言える試合運びであった。確認したかった選手層の厚さも見事に証明することができたことに満足すると共に、何よりも奇策とも言えるプランを遂行してくれた選手達に敬意を表している。これで2回戦へ進出することになり、早くも優勝候補の一角である関東リーグ所属の横須賀シーガルズFCと対戦することができる。私はこの試合を当面の目標とし、ずっとこの試合を考えてきた。この試合を制することがどれだけ困難なことであるかは重々承知している。非常に難しい対戦ではあるが、ここを乗り越えない限り全国大会への出場は有り得ない。いや、ここさえ乗り越えれば全国大会へ進出できると信じている。出来る限りの準備はしてきた。あとは選手達と共に悔いの残らぬようスフィーダの全てを出し尽くし、燃え尽きるような闘いを演じたいと思っている。

試合結果に戻る