11/23(水) 早稲田大学ア式蹴球部女子
reported by 川辺
1部リーグ第6節は全日本女子サッカー選手権大会東京都予選のチャンピオンであり、更には激戦区の関東大会も勝ち抜き全国大会出場を決めている日本サッカー界屈指のチーム。メンバーには各年代の日本代表選手が何名も在籍し、その他の選手達も東京都や各県の国体選抜選手などで構成されており、正直なところ現在の力の差は大きいものと言える。但し、私達の現在の目標はトレーニングの成果を確認するという確認作業がメイン。チーム力が通じるかどうか?というよりも個々の力がどの程度通用するのか?ということが大事な要素と考えられた。ここ最近の個々の成長に関してはある程度の自信を持っていたので数名の選手は通用するのではないかという自信はあった。そういう意味では最高の相手であると言える。
前半、相手のチーム力は素晴らしいものがあった。昨年よりも戦力が充実し、明らかにパワーアップしていた。パススピード、コンビネーション、チーム戦術は高いレベルで発揮され、我々の守備網をいとも簡単に突破していた。結果、その攻撃の速度に慣れる前(2分)に失点してしまった。あまりにも速い攻撃だった。その後10分にも失点してしまうが、この試合の狙いは我々の個性がどれだけ通用するかということを見極めること。ベンチから声をかけ選手達は徐々に落ち着きを取り戻し、自分のプレーを心掛けるような選手が増えてきたのは良かった。そんな中、己の個性を果敢に発揮しチャレンジしていた選手達が数名いたが、通用している選手は通用していたと感じている。まだまだチームは数名の選手しかこのレベルで戦うことは出来ないが、この選手達が更に経験を積み、早稲田の選手達と同じように大学生になればある程度戦えるという自信を掴むことは出来た。現にスフィーダ最高学年の高校2年生選手達はある程度通用していた。やはり、私達はまだまだ中学生の主力選手達が多いということで現在の力を評価するよりも大きな将来性を見極める必要がある。特に4バックは高校1年生が1名、中学2年生が2名、中学1年生が1名というかなり若い構成であり、ある意味、早稲田の攻撃に手も足も出なかったのは仕方のないことだと思う。何故なら相手の2トップは共にユニバーシアード日本代表の選手達であり、その他の選手達も非常にレベルの高い選手達であるからだ。しかし、だからといってこれをこのまま仕方がないと終わらせる気も毛頭ない。結果的に明らかなミスなどからの失点もあり前半だけで0-4と差を広げられたが、相手ゴールに迫るところまで行っていたことや決定気も2度ほど演出出来たことは良かった。ずっと押し込まれたような展開にならなかったことは素直に評価したい。また、後半に向けて、この点差は良い方向に導ける材料だと思っていた。
ハーフタイムではまずディフェンスラインの戦術的な部分に手を付け、その後にチーム全体の守備の組織について修正を試みた。また、それと共にチームのシステムを変更し、この変更にどれだけ対応できるかということも見極めたいと思っていた。そして、何よりも重要な後半戦の意味を説いた。もうすでに勝負は付き、勝てる可能性は極めて薄い点差といえるだけに勝敗を気にせず、10点奪われても自力で1点を奪いに行こうと伝えた。前半よりもプレッシャーから解き放たれ自分達の可能性を個々が見出すことさえ出来れば、この試合で例え10点取られようが20点取られようが構わないと思っていた。
後半、相手は2トップの一角を下げるなどして戦力的には若干落ちていたように思うが、前半戦で選手達は早稲田のスピードに慣れ馴染めており、数名の選手達は更に高いレベルで個人技を発揮できている内容であった。非常に素晴らしいファイティングスピリッツを見せてくれ、その中で得点を自力で奪うことの出来た内容は称賛にに値する。後半はシュート数も五分で得点も五分。互角とまではいかないが完璧に負けているという内容でもなかった。出来ることならもう1点だけでも奪いたかったが、たった1点だけでも自力で奪うことの出来たこの1点は大きな財産となる。
結果的に1-5の惨敗となったが、自分達の個性がどれだけ通用するのか、このレベルを相手にトレーニングの成果は発揮できるのか、ということに関しては合格点を与えられる内容であったと思う。自分から仕掛け何度もチャレンジすることで試合中にどんどん良くなる選手、成長を示した選手にはかけがえのない経験になったはずだ。このレベルを経験していればちょっとやそっとのことでは動じないはずだ。守備、攻撃共に収穫もあれば反省材料も多く残った試合だったが、マイナスな部分は1つもなかった。先に繋がる非常に素晴らしい経験だったと振り返っている。
これからも今回のようなかけがえのない経験が多くできるようより高い位置を目指して活動していく必要がある。戦う環境が高ければ高いほど、選手は高いレベルの選手となって行く。選手を育てるもの、それは我々指導者もそうかもしれないが、指導者に出来ることと言えばきっかけを掴ませることぐらい。一番大切なものは、その選手の置かれている環境だと思う。だからこそ日々、上を目指し、上を見上げながら活動していく必要がある。指導者はその環境の一部分でしかないと思っている。