11/20(日) SOCIOS FC

reported by 川辺

東京都女子サッカーリーグ1部リーグ第5節は今期から2部リーグより昇格してきた古豪SOCIOS。前線に経験豊富なタレントを要し、1部リーグでも屈指の攻撃力を誇るチームと認識している相手。今期も新戦力が加わり、更に攻撃力は上がっている。
1部リーグの周囲の結果を考えた時にこの1戦での勝者が上位進出の可能性を得ることの出来る試合という大事な1戦。但し、今の我々は1部リーグでチームとしての結果を得るよりも個々の成果を重要視している土台作りの時期にあり、SOCIOSという強い相手に対し、オフェンス面での個々の成長を感じ取ることが最も重要なことであった。しかし、それでも個々がここまでやってきたことを意識して戦い勝てるのであれば尚更素晴らしい。重要な1戦、強い相手に対し成長を感じながら勝利を収めるという2つの目標を意識していた。しばらく実戦から遠ざかっていたので、試合に対する感覚は鈍っていることが想定でき、ここまでのトレーニングを意識してプレーするということはチームとしてのサッカーとは大きく異なるので、非常に難しいものではあった。ただ、2つの物を同時に追い求めるのは間違っているかもしれないが、それは決して出来ないことでもないと感じていた。
試合前から選手達はとても静かだった。良い意味でプレッシャーを感じていないのではなく、この1戦に向かう精神面に問題があった。その理由として考えられるのは試合前には必ず長い時間をかけて行う戦術的なトレーニングもほとんど行っていないということだ。戦術的なトレーニングを行っていないのがいけないのではなく、戦術的なトレーニングを行って試合に挑まなかった為にどこか練習試合のような意識が芽生えてしまったのだと思う。
試合の序盤は実戦から遠ざかっていたことで流れはいいものではなかった。試合への入り方が悪かったということも言える。それでも時間の経過と共にビックシャンスを作り出して行き、当初、考えていたものよりもずっと楽に試合を進められると感じていた。相手は経験豊富な選手が多くタレント性のあるチームだという認識は正しかったが、攻撃陣に高い技術の選手が集中しているだけに守備陣は多少劣る印象がある。確かに攻め込まれるが、決定機を演出することは然程難しいことではなく、何度もカウンターアタックでチャンスを演出することが出来た。先に点を取ったのは相手であったが焦りは全くなく、普通にやれば3〜4点奪えると確信していた。その理由として、失点してすぐに奪い返すことが出来たこと、終盤には体力切れで明らかに運動量が落ち我々が押し込み続けたことからだ。チームの状態はここ数試合で最も最低とも言える状態で良い所を探すほうが難しい位のものであったが、試合前の目標の1つである個々の成長とトレーニングの成果は随所で見て取れた。チームとしては良くなかったが、数名の個人には満足している。
後半、相手はやはり経験豊富で頭が良い。よくサッカーを理解している選手が多く、そのような面では見習うべきことが多いチームだと感じた。前線の動き出しの質、ボールを受ける瞬間の精度、多彩な連携などは素晴らしい。非常に予測の立てにくい攻撃だった。前半の終盤に落ちた運動量の低下も自由な交代制度を上手く使い何度となく交代を繰返していた。我々はチームとして全く機能していなかったが、それでも終盤までに2-2と競り合いになり3点目を奪ったのは残り5分の時間帯であった。これで勝利が大きく近付き、目標の2つを達成できると考えたが、3点目を奪った次のプレーでゴール前でファールを犯すと、そのセットプレーから失点し3-3。残り5分で勝ち越し点を狙うも逆にカウンターアタックを受け、失点し3-4と敗戦。非常に痛い敗戦だった。
相手は確かに力のあるチームではあったが、今回の試合では個々がトレーニングの成果を発揮する機会と考えていただけに仕方のない部分がある。現に個々は約1ヶ月間で成長を示していたし、納得できる部分は多くあった。しかし、個々が成果を示したからといって勝てるとも限らない。負けるとも思っていなかったが、今回はチームとしての連動性が大きく欠けていた。ある意味、納得しなければいけない結果だと思う。チームが勝つためのトレーニングをしているわけではなく、個人が成長する為のトレーニングを行っている時期だからこそ今必要なのは我慢。トレーニング内容は公に出来ないが、今は我慢し今後の個々の成長だけを考えたい。個々が成長を示していく中で勝てれば良い・・・その程度にしか考えていない。今まで多く勝ってきたわけだし、自分達の位置も証明してきた。だが、今のままでは更に上のトップレベルには近付けない。今やっていることはシーズン中にやるようなものではないことだが、それも全ては来年度の公式戦で多くの結果を得るために行っている。『今』を最優先にすることは大事だし、ほとんどの時期はそれが全てだが、私は現在『今』を最優先にするのではなく『未来』を見据えている。どちらが大事か?と問われれば、どちらも大事だとしか言えないが、その時々でそれらを選択していくことは必要だと思っている。『今』を努力し続けることが『未来』へ繋がっていくということに依存はないが、それだけに縛られることもない。うまく言えないが『未来』の『未来』を見据えれば『今』やるべきことは1つでもないということだ。
次節は全日本選手権東京都予選で優勝し、関東大会でも準優勝を果たした早稲田大学。各年代の日本代表選手を数多く要するチームなだけに自分達の足りない部分が良くわかる最高の相手だと思う。胸を借りるつもりで挑みたいと思う。チームがどれだけ通用するか?というよりも個々がどれだけ通用するか?ということを見極めたい。

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