10/1(土) 本庄第一高等学校(埼玉県第1代表)

reported by 川辺

関東女子ユース(U-18)サッカー選手権大会はトーナメント式の大会。1都7県から2チームづつの代表チームが集い行われる。また、この大会の上位2チームは全国大会に進出できる。
その1回戦の相手は埼玉県第一代表の本庄第一高等学校。埼玉県の強豪高校で知られる名門チーム。但し、私が知っているのは名前のみに近く、若干の情報はあったものの知らないに等しい状態。事前に相手をスカウティングすることも出来ず、どういうサッカーをするチームなのかもほとんどわからない。この大事な初戦にて重要なことは自分達のサッカーをして真っ向勝負すること、、、それしかなかった。しかし、東京都予選以降、ここに至るまで完璧な調整が出来ているかといえば答えはNoだ。練習試合などの試合が1度も出来ていない、関東大会へ向けてのトレーニングが出来ていないなど不安要素しか存在しない。東京都予選の時はほぼ完璧な状態で調整し、納得の行く状態で大会に挑むことができた。しかし、この関東大会へ向けては明らかに調整不足だった。この状態でどこまでやれるのか?この状態で上を目指すことができるのか?希望や期待よりもネガティブな要素しか思い当たらない。それでも、この場にいるということは東京都代表として東京のプライドを背負い戦わなければいけないということであり、東京という名に恥じない戦う姿勢が必要である。決して状態としては良くない。正直、相手に恐怖心すら感じる。ただ、それでも私は選手達を信じ、そして、選手達も私を信じ、ここにいる。お互いが互いを信頼し合い、ここにいる。私達に出来ること、それは今の自分達に出来る最大限のことをピッチ上で示すこと、、、それしかないと思っていた。結果はどうであれ、悔いの残らない戦い方をしようと思っていた。
試合が始まり、まずは相手の様子見といったところであったが、相手は縦へのスピードに優れており、開始から自陣でのプレーが多くなっていた。チームの戦い方も徹底されている感覚を受け、非常に難しい相手だった。最終ラインからは徹底してロングボールを放り込み、それに前線の選手が素早く反応し、そこから個々の能力と縦へのスピードを生かしたワンタッチプレーなどの攻撃が全てだった。最終ラインから嫌と言うほどロングボールを放り込んでくるというのは聞いていたが、ここまで徹底してくることと、その精度が高いことで押し込まれる時間帯が続いていた。押し込まれることは想定内のことであり、
押し込まれること=相手守備ラインの背後にスペースが生まれる
ということになる。これは大きなチャンスだと感じていた。しかし、その対策としてか相手の4バックはスイパーを配置する形のもので簡単にその守備ラインを突破するには至らない。但し、4バックの前3枚と後ろ1枚のギャップには付け入る隙があり、突破するならそのギャップを付いたアーリークロス、もしくはサイドを深くえぐりスイパーをつり出すことだと考えていた。押し込まれることでの精神状態とその精神状態が及ぼす試合への影響というメンタル的な部分に関しては前々から何度も伝えてきたことではあるが、押し込まれることにより各ラインの感覚が広がり素早く攻撃に移れないという事態に陥っていた。それでも前半半ばに予想通り相手守備ラインのギャップを突くアーリークロスから逆サイドに展開したボールをFWの選手が突き刺した。我慢して我慢してのカウンターアタックであったが、これは予想できた得点であり、先制点を奪えたことにより試合を優勢に進められるのではないかと感じていた。予想通り得点の直後こそ精神的に優位に立つことが出来、相手を押し込んだ。しかし、今度は我々がカウンターを受け中央を破られ失点。同点になったことで試合は難しいものになったが、終盤にサイドをえぐりクロスを挙げ得点まで強引に持って行った。得点こそ奪えたものの試合の流れは相手にあったと言っていい。
ハーフタイムに入り最終ラインとトップとの位置が完全に離れているため攻撃に転じた時にグラウンダーのパスが通らないことを指摘。その修正と最後の情報ともなる相手の後半戦での消耗について話した。埼玉県予選の決勝で埼玉平成と戦い、準優勝に終わった本庄第一であるが、スコアは5-0(0-0)の大敗であった。スコアこそ大敗であるものの前半は完全に本庄第一のペースだったと聞く。不運にもゴールが奪えなかっただけで0-0で前半を終えたのが敗因だったようだ。しかし、後半に入り一気に足が止まり立て続けに失点し結果として5-0。埼玉県予選とこの関東大会では気温こそ違うが、どこかで必ず足が止まるだろうと選手達には伝えた。
後半に入り、開始10分こそは依然相手のサッカーを受ける展開が続いた。しかし、10分過ぎには足が止まり始めた。相手の前線の選手達は前半から果敢に飛び出し、そして、激しいフォアチェックを繰返していた。これが1試合持ったら恐ろしいな・・・と感じてはいたが、やはり、それは難しかったようだ。うちの選手達は高校のチームと比較すると体力的には断然劣るものがあるが、ペースを保つことは出来ていたので相手よりも先に動けなくなることはなかった。従って、後半戦はこちらの攻撃が相手ゴールを脅かすことも多くなり、相手の攻撃力は半減しているというような状態が続いていた。後半半ばには中盤の連携からFWが完全に抜け出し追加点を奪い3-1にまで差を広げた。このまま試合は終了し関東大会の1回戦を突破することは出来た。相手は非常に優れたチームプレーを徹底する強いチームであったが、恐らく先行逃げ切り型のチームだったことで長期戦に持ち込むことにより勝利することが出来たのだと感じている。また、相手は我々のことを調べていたように思う。チームのキープレーは知られており、その対策には手を焼いた。更に始めてのグラウンドということも試合をより難しいものへとさせていた。長い芝生でこのグラウンド用のサッカーをしなければ試合を優勢に進めていくのは難しい。この点も踏まえて2回戦は戦う必要がある。
最後になるがこの試合で2名の重傷者が出た。どちらも長い芝生の影響だった。この2名は長期離脱を強いられ、この先のトーナメント戦を難しくすることが予想できる。どちらもずっと主力選手としてチームに貢献していた重要なプレーヤーだ。それだけに勝つことは勝ったが気持ち的にはどこか晴れ晴れしいものが薄くなる。それでなくても大会直前で出場不能になった主力選手がいること、更には多くの選手達が怪我を圧しながら出場しているという現実を考えるとチームは限界のところまで来ているのかもしれない。11名のスターティングメンバーすら怪我のない選手で組めないほどの崩壊状態だ。しかし、それが負ける理由にあたるとは微塵も思っていない。確かに良い状態ではないが、このメンバー達はチームの中から選ばれた代表選手達である。誰が出場してもチーム力が格段に落ちることはない。今はこの与えられた環境・状態の中でベストを尽くすことだけを考えたい。それが私達に与えられた使命だと思っている。

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