8/28(日) 東京経営短大村田女子高等学校
reported by 川辺
決勝リーグ第3節、この長かった大会も今日で終わる。しかも、それは大きな運命の懸った試合。祈願の関東大会出場という目標を達成するためには勝つしかない。今までに味わったことのないような大きなプレッシャーのかかる試合ではあるが、ここまでの4年半の活動の全てを懸けて戦うつもりでいた。我々はこの日の為に努力を重ねてきた、そして、この試合の為に困難な壁を乗り越えてきたのだと思う。私は関東大会という上の舞台で戦うことを目標にしてきていたし、今年からこの大会が単独チーム制に移行したのは私達にとっては大きなチャンスであった。このチームを立ち上げて以来、初代の選手達も高校2年生へと成長し、幸いなことにこの大会を勝ち抜くだけのレベルに達することが出来ていた。このチームで関東大会、全国大会を目指したい･･･そういう想いは大会期間中も日増しに強くなっていった。そして、今その目標が目前に迫り、自分達の力で掴み取れるところまで来ていた。村田女子高校は非常に手強い相手であり簡単に行くチームではないが、『関東大会に行きたい』という気持ちの部分では絶対に負けていないと思っていた。極端な話、ここまで来ればその気持ちが強い方が勝つと思っていた。
前半、開始直後に思わぬ運が巡ってきた。相手のラインを抜け出し完全にGKと1対1になる。そのファーストチャンスをものにすると、一気に勢いに乗り相手を攻め続けることが出来た。その後も目の覚めるようなミドルシュートが突き刺さり、更にFWが単独で抜け出し3点目、4点目はクロスに飛び込み奪うことが出来た。前半は相手の組織を個人技で打開できることが多く圧倒できていたと思う。相手もセットプレーから際どいシュートを放つが、3回あったシュートが枠を捉えきれなかったのは運が良かったことだ。もし、それらのシュートが1つでも入っていたら試合の行方は読めないものになっていたに違いない。
ハーフタイムに入り、まず選手達に伝えたことは『まだ何も成し遂げたわけではない、ここで油断すれば一気に押し返される危険性はある、一瞬たりとも油断するな』ということ。前半は個人技で相手を圧倒しリズムは良かった。しかし、村田女子高校のレベルであれば、この点差をひっくり返される危険性がある。更にこの点差で選手達が油断することは十分に考えられた。自分達の目標が何なのか？目標を達成するために今何をしなければいけないのか？それを改めて考えさせる必要があった。そして、最後に1つ･･･『次の1点で全てが決まる！もう1点取れば勝ちだ』ということ。
後半、流れは一転し相手の縦に速い攻撃に対応できなくなって行く。中盤の動きに変化が生じ、相手のパスワークに対応できなくなってしまった。更に相手の攻撃を恐れ、引いて守ろうとしてしまうため攻撃に転じた時に適切なポジションが取れない。従って、すぐに相手にボールを奪われ守備に追われてしまうという悪循環に陥った。疲労もあっただろうが疲労よりも4点差を付けたことにより、関東大会出場ということが頭の中を過ぎってしまったのだろう。何も考えずに全力で戦っていた前半戦は良かったが、結果を意識できる点差になったことが逆に選手達に強いプレッシャーを与えてしまったのだと思う。本当に前半とは対照的な試合展開になってしまった。後半半ばには相手のキープレーヤーの個人技に対応できず失点を許し4-1となる。正直なところ、この失点は痛恨のもので試合の行方を分からなくするものであったが、時折見せるカウンターアタックが効果を発揮し中盤の選手がミドルレンジから素晴らしいシュートを放った。このシュートは強い勝利への執念を感じさせてくれる素晴らしいものだった。これで5-1とし、残り時間を考えても我々の勝利が自信から確信へと変わった。ただ、それでも最後まで戦う姿勢を崩さない村田女子高校。相手にも強い意志を感じ、素晴らしい精神力を見せてもらった。試合がほぼ確定しているにも関わらず、諦めるどころか更に闘志を剥き出しに我々のゴールに襲い掛かってくる。相手の強い闘志に対応しきれず更に1点を奪われた。しかし、そのまま試合終了のホイッスル･･･夢の叶った瞬間だった。この一瞬の為にチーム一丸となり頑張ってきた。強い安堵感と達成感を感じ、私は選手達に胴上げされ宙を舞った。表現のしようがない感覚だった。何はともあれ、これで我々に東京都代表の権利が与えられ関東大会への出場権を得ることが出来た。ようやく一番手に入れたいものを手に入れることが出来た。夢のような瞬間だ。私はこのチームで関東大会、全国大会を目指したいと思っていたし、このチームでなければ出来ないことだと思っていた。とにかく今は目標を達成することが出来て素直に嬉しい。
村田女子高校との差は紙一重だったと思う。強い精神力を示してくれた相手選手達にサッカーとは何か？というものを教えられ、非常に気持ちの良い印象が残った。この1戦から私も改めて感じさせられる部分が多くあり勉強になった試合だった。今回は多少、私達の方が関東大会に懸ける気持ちが強かった結果だと思うし、相手よりも運が良かった。もう一度戦ったら結果は逆転するかもしれない。今回は大きな結果を得ることが出来たが、私達はまだまだ未熟なチームだ。次は全国大会出場という大きな目標に向かって歩み始めるわけだが、今のままではそれは手の届かない目標だと思う。だったら、関東大会までの1ヶ月間という期間で更なる成長を果たす必要がある。関東、関東と合言葉のように言い続けてきたものを手に入れたことで選手達は大きな満足感を得たはずだ。今は満足感や達成感に酔いしれていも良い期間、十分に余韻に浸ってもらいたい。しかし、すぐに関東大会への準備は始まる。私達はこれからも更なる飛躍を果たし、そして、強い意志を固め関東大会の舞台へ乗り込みたいと思っている。今から関東大会が楽しみで仕方ない。
最後にチームの活動に賛同し協力を惜しまず応援し続けて頂いた保護者の方々、また、頼もしい応援で背中を押してくれた他のカテゴリーの選手達、マネージャーのように動いてくれた選手達、更には私をバックアップしてくれたコーチ陣、全ての力が合わさり得ることのできたものがこれだと思っています。どれが欠けてもこの結果は有り得なかった事だと思っています。本当にありがとうございました。今大会で選手達は皆、多くの方々に感謝しています。支えられているから今があるのだと改めて感じられたはずです。関東大会でも全力を尽くしますので、また心強い応援を宜しくお願い致します。