7/17(日) 日テレ・メニーナ
reported by 川辺
全日本女子サッカー選手権大会準決勝は同じ中・高生主体の日テレメニーナ。同じ世代では技術レベルが格段に高く、昨年の同大会でも優勝を果たし関東大会へ進出していたチーム。この大会は社会人の選手や大学生の選手も出場できる一般の大会で、大会の主旨として真の東京都代表チームを決定する大会と認識している。この大会において勝ち抜くことは並々ならぬ精神力と日々の努力、また時として運を引き寄せることの出来る準備が出来ているかどうかということが重要だと思いる。我々はこの4年間半で最低限の努力はしてきたつもりだ。しかし、それは最低限のレベルでのこと。そういう意味ではこの準決勝というところまで来れたことすら我々にとっては大きな前進であった。まだまだメニーナとのレベルの差はあると理解していたので、この準決勝という舞台がどれだけ難しいものかも分かっていた。ただ、相手も同じ中・高生。必ず付け入る隙はあるはずだし、チャンスが全く無いとは思っていなかった。但し、それには日テレ・メニーナという名前に押し潰されない事が最低限の条件だと思っていた。
試合が始まり、選手達は自分達の形を出そうと前向きに戦っていたと思う。また、圧倒的な攻撃力を誇るメニーナに対し開始5分までの失点を防ぐということも出来ていた。しかし、相当な暑さのためか、明らかに守備におけるポジション修正などが出来ていない選手がいた。前線の選手の守備面での運動量が低く、チームとしての連動した守備に穴が出来ていた。1つの穴が出来れば、その穴を埋めるために違うポジションの誰かがポジション修正を行わなければいけない。そして、それは新たに出来るスペースを相手に与えることになり、全てが後追いのディフェンスになってしまう。相手はポゼッション能力に優れているため、簡単にそのスペースを見付けられ、すぐさまそこから攻撃を仕掛けてきた。そして、痛恨の失点を許すと失点直後は忘れていたはずのメニーナという名前が選手達に襲い掛かり、明らかに冷静さを失った戦い方になってしまった。冷静さを失うことで、相手を恐れる、混乱するなどという事態に陥り前半で5失点。正直、もう勝てる可能性はなくなったと言っていい前半戦だった。
ハーフタイムでは相手に恐怖心を抱き、冷静さを失った戦い方をしてしまった前半戦を指摘。そして、すでに勝負はついたと伝えた。もう勝てない、負けは決まった・・・普通の指導者であれば、ハーフタイムで試合が決まったなど口が裂けてもと言わないであろう。私も普段はそんなことは言わない。しかし、この言葉にも当然狙いはある。私達の今期最大の目標である全日本女子ユース(U-18)サッカー選手権大会で結果を残すことが何よりも重要なこと。その大会に向けて同じシードのメニーナと対戦できていることは重要なことだ。この試合でやられっぱなしで終わるより、後半戦でも次の試合に繋がるものを残すことが大切だった。また、相手に恐怖心を抱いている状況を解決するためには勝負を捨て、後半は練習試合のような位置付けで戦うことが一番簡単にこの状況を解決できる特効薬だと思っていた。自分達の技術はメニーナが相手でも全く通用しないということは絶対にない。自信を持って相手と向かい合えば必ず勝てる局面もあるはず。そういう部分を証明すること、また、出来るんだというイメージを残させることが大切だった。
後半、出だしは前半戦の恐怖心が残っていたが、時間の経過と共に選手達に落ち着きが戻っていく。相手も我々も運動量が明らかに低下していたが、徐々にチームが個性を出していくシーンが出てきた。ただ、相手の技術に劣勢な状況を余儀なくされることは変わらなかった。それでも、それは簡単に修正の出来ること。特に大きな問題だとは感じていない。後半も1失点し、結局0-6での惨敗になってしまったが、それ以上に情報の多い試合だったと言える。敗戦を余儀なくされていた後半戦でリザーブの選手を数多く起用できたことも収穫の1つだ。この試合において、もし、勝負が決まる様な点差になった場合はリザーブの選手を多く起用し、その選手達がどれだけ通用するか見極める必要があると考えていた。メニーナのような強い相手と試合経験を積めることは他の試合に出場することとは訳が違う。個性を見せてくれる選手もいたし、通用している選手もいた。従って、後半戦のメリットはこの部分も含めて良かったと思っている。
何が通用し、何が通用しないのか?また、どうすれば相手とまともにやり合う事ができるのか?そういうデータが揃った試合だったと思っている。この0-6という点差を縮めることは難しいようで難しくはないと感じた。次に対戦す時には、きっとこの点差は大きく縮まっているだろう。相手の高いレベルと対峙し、やはり、難しい相手だという認識は変わらない。しかし、次の大会では劣勢を余儀なくされても結果を出すことが重要。前回の対戦では1-2と僅差の試合であり非常に良い経験の積めた試合だと思っているが、今回の試合もそれに相応する程の収穫を得ることが出来た。前回の対戦よりも、我々の技術レベルの向上に自信が持てた。非常に重要な1戦であったと言っていい。相手を見極められた前半戦、勝てる局面が存在した後半戦など前回の対戦に匹敵するほどの情報を得ることができた。また、全日本女子ユース(U-18)サッカー選手権大会に向けて試しておきたいことは全て試すことが出来た。だから、この敗戦は前向きに捉えられる。
尚、今回の敗戦で3位決定戦に回ることになった。負けはしたが、まだ1試合残っている。相手は東京経営短大村田女子高等学校。次の大会のシードの十文字高校とは3回戦、メニーナとは準決勝、そして、3位決定戦でもう1つのシードチームである東京経営短大村田女子高等学校と対戦が出来る。先の大会へ向けての調整ということもあるが、とりあえず今回の大会において東京都のトップ3に入るという結果がほしい。何としても入賞し、自分達の東京における位置を確認したい。苦しい試合を乗り越えることが出来れば必ず1歩前進することができる。この大会を最高の大会だったと振り返えれるように何としても3位入賞を果たしたい。、全日本女子ユース(U-18)サッカー選手権大会を見据えると共に自分達の力を証明したいと思っている。