7/10(日) 十文字高校

reported by 川辺

全日本女子サッカー選手権大会3回戦は東京都No.1高校の力を誇る十文字高校。全日本高校女子サッカー選手権大会において、東京都で優勝。また、関東大会でも準優勝し8月上旬に行われる全国大会に参加を決めている。今大会では1回戦を文京学院に1‐0、続く2回戦もFC駒沢に2‐1と勝利を収めていた。しかも、1回戦・2回戦は主力選手達の高校3年生選手達が出場しておらず、サッカーの質自体は変化がないものの、総合力では大きく上回ることが安易に想像できた。予想していた戦況はボールをポゼッションする十文字高校に対し、奪った後に1タッチ・2タッチで回し、縦へ素早く攻めるスフィーダという戦い。どちらがどれだけ決定機を活かせるか?ということが試合の結果に繋がると考えられた。
前半、開始は縦へのスピードを活かし相手守備ブロックの裏を積極的に付く。前線の連携で細かいミスは多いものの、1対1での攻防でも優位な状況を保てていたことでダイナミックな攻撃が出来ていた。途中まで迫力と前へ突き進む気迫で相手を上回ることが出来ていたが、徐々に相手が落ち着いて対応できるようになり、相手主体の流れに変化していった。チームとしてボールを動かし、うまくサイドのスペースを活用され、時として深い位置まで侵入を許してしまった。サイドバックと中盤の連携・コミュニケーションが取れておらず、相手のサイドバックのオーバーラップを簡単にさせてしまった。中盤2枚のキープ力・展開力が非常に高かった。チームのポゼッション能力はこの年代ではかなり高いのではないか。前半の半ばには中盤から出せれたスルーパスに守備陣の足が完全に止まった。半数はオフサイドだと思っていたようであるが実際はオフサイドでも何でもない。完全に抜け出されたが、GKの飛び出しの方が一瞬速くクリアーするも相手に拾われ無人のゴールにシュートされ失点。終盤は相手に押し込まれる時間帯も長く耐える時間が続いていた。
後半、運動量の落ちたFWを下げ、個人技での突破も可能なFWを投入した。相手は前半の終盤の流れをキープしていたが、ハーフタイムで確認しあったポジショニングの修正が効果を発揮し始め、ボールを奪ってからの展開は速く相手ゴール前に迫ることは増えた。その後、中盤のスルーパスから完全に抜け出したFWがGKを抜き去り1‐1に追いつく。この得点までも相手の守備ラインを突破したシーンは何度もあったが、尽くチャンスを潰してしまっていた。出来ればもう少し早い時間帯に得点がほしかった。また、相手のサイド攻撃にも徐々に対応できるようになっていき五分五分の展開になっていったが、その時間帯に相手のキープレーヤーが右サイドにポジションを移した。非常に足の速い選手だとは知っていたし個人技の高さも理解していた。しかし、これに対し特に対策は採らなかった。フレッシュなサイドバックを投入することも考えたが、それよりもうまく行き始めてきた全体の流れを大切にしたかったからだ。何度かは対応できていたが、ただ1度だけ見事に右サイドを個人技で切り崩されDFが粘り強く対応したもののPKを献上し決められてしまう。後半の良い時間帯に追いつけただけに、この失点は非常に痛いものであった。しかし、我々が1点目を奪った直後にメンバー交代を行い中盤の構成を変えていたことが功を奏し、中盤の選手が前を向いてボールを保持できることが多くなる。2失点直後は危機感が増し、前へ速い攻撃を展開。選手達の目はまだまだ死んでいなかった。そして、左サイドから抜け出した選手が得点を奪い2度目の同点になる。この2点目を奪った時には残りの時間も僅かであったし、疲労も蓄積し苦しい状態だったということもあるが、逆転の雰囲気は濃厚であったと言って良い。そして、終盤に続け様に3点目を奪うことに成功。最後の時間帯は引いて守らせ相手の攻撃を凌いで試合終了。非常にタフなゲームだった。
今回の試合はベスト4を決める戦いであり、また、更に多くのレベル高きチームと対戦する機会を得ることの出来る戦いであった。この試合は非常に苦しく辛い戦いになったが、それでも先制点を許し、追いつき、そして、突き放され・・・という戦況でよく集中力を切らさずに戦えた。気温や湿度も相当に高かっただけに今までであれば諦めてもおかしくないような状況であったが、選手達はこの1戦の重要性をよく理解しており最後まで必死に戦っていた。この大きな大会での逆転勝利という結果は絶対に忘れてはならない。厳しい環境、厳しい相手に対しても最後まで戦い抜けば自然に結果は付いてくる。スフィーダは過去の均衡した試合において逆転勝利したということがほとんどない。まだまだ、精神面で充実した選手に育っていないからだ。しかし、今回の結果を得て、選手達は新たに学び、新たな成熟を見せてくれるのではないかと思う。だから、非常に良い経験が出来たと思っている。精神的に良いゲームだったと言える。
これでまた1つ上に進めることになり、またレベルの高い相手と対戦できる。スフィーダがこの全日本選手権大会という日本で一番大きな大会においてベスト4まで上がれたのはこれが初めてだ。現在、残っているチームは我々と次の相手の日テレ・メニーナ、早稲田大学ア式蹴球部、東京経営短大村田女子高等学校の4チーム。どれも東京では名の高きチームばかりだ。これらの相手に対し自分達の力がどこまで通用するのか見極めたい。次の対戦相手は勝てる可能性が極めて薄い相手だ。恐らく、誰もがそう思っているだろう。前回の対戦では守備からのカウンターサッカーで1対2という僅差での敗戦であったが、今回の試合は打ち合いを挑むつもりでいる。自分達のスタイルでどこまで戦えるのか試してみたい。恐らく、守備的に戦わなくても押し込まれ守勢が続くであろう。しかし、あくまでもゴールを目指し戦うことを選択したい。例え10点取られようが1点を目指しゴールに突き進むようなサッカーをすることが大きなテーマだ。次の1戦でも何かを得られるような熱い戦いが見たいと願う。そして、勝利だけを考え来週に迫った準決勝に準備をして行くつもりだ。

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