3/27(日) 吉祥女子中学・高等学校

reported by 川辺

2005年度初の公式戦は毎年恒例の東京都女子サッカー大会である。前回は3位入賞を果たしている大会であるだけに今大会も力の入る大会だ。但し、昨年の時よりも更に調整の意味合いを強く強調しているのも事実。毎年、この大会には小学生はエントリーしないことにしていたのであるが、大会の形式が例年とは異なるために急遽2名の小学生をエントリーし挑むことになった。
試合は前半から予想通りの展開になっていく。相手とはちょうど1週間前にも練習試合をしており相手との力関係がどの程度のものなのかは把握することが出来ていた。押し込む展開が予想でき、相手は引いて守ることも予想の範囲内であったが、グランド状態が悪い為にDFラインにボールを下げて相手のゾーンを広げるといった戦術は取らない旨を伝え選手達を送り出した。出来るだけ押し込み続けピンチを招かないような展開が理想的であった。但し、ここで問題なのは押し込み続けることはアタッキングスペースを自ずから消すというということにも繋がり、理想的な試合運びは出来ない。まずは負けないことを第一に考えて、失点をしないような試合運びをすること、そして、なかなか得点を挙げられなくても焦らずに攻め続けることが重要なポイントであった。選手達はこの作戦を理解し忠実に実行してくれた。ほぼ一方的に押し込み続け、失点をされない試合運びが出来ていたと思う。2本のシュートは受けるものの失点するという怖さは全くなかった。試合前に試合の流れがどのようになるかを想定できていたからこそ選手達はクールに戦うことが出来ていたと思う。綺麗なサッカーとは言えないが、集中力は感じられたし、それぞれが闘争心を剥き出しに戦うことが出来ていた。粘り強く戦うことで前半も終盤に差し掛かったあたりでコーナーキックからボレーで合わせ得点を奪う。1-0で前半を折り返すことになった。
思ったように得点が出来ないこと、前の練習試合と同じような展開にならないことは試合前から伝えていたので予想通りの展開で後半を迎えることが出来た。選手達には後半は2点目・3点目を挙げることができれば大きく試合が動き出す可能性があること、そして、今のまま冷静に試合を進めることを伝えた。また技術面では攻撃のビルドアップ、そして、得点を挙げるためのミドルシュートというキーポイントも伝えた。
後半、試合は動き出す。ミドルシュートはペナルティーエリア内で守備をしている吉祥守備陣を誘き出し、その空いたゾーンを使うという意図があったが、思いもよらず1本目のミドルシュートのこぼれ球を押し込み2点目を奪うことが出来た。更にこの直後決定なチャンスが訪れるものの、勝負の境目となるシュートがポストを直撃し得点には至らない。試合的にはこのシュートが入っていれば最終結果の4-0よりも大量得点の可能性が高かった。ここでシュートを外したことで試合が落ち着き始めてしまうが、終了5分前に怪我で試合に出場させていなかったFWを時間限定で出場させた。5分間の中で前線で攻撃の起点を作ること、また自分の個性で1点を取ることだけを指示した。この選手が入ったことで流れは完全に我々に傾いた。前線でのポゼッション力が増し、容易に決定的なチャンスが巡ってくる。相手のマーク、意識もこの選手に集中し周囲のプレーヤーの個性も生き始めた。結果的にセットプレーからオウンゴールを導き、そして、完璧な個人技でいとも簡単にゴールを挙げてみせた。本当に1得点できるとは思っていなかったが、存在感、経験、技術は高い位置にあることを証明する5分間であった。
この試合は4-0で勝利することが出来た。内容に関してはほぼプラン通りに試合を進めることができ、問題なく勝つことが出来たと言って良い。小学生もフル出場させることが出来たし、高いレベルにある選手だということも確認できた。最初にしては満足のいくパフォーマンスである。またチームは現段階ではシーズンを戦い抜いていくような仕上がりを見せていない。しかし、先へ期待を持たせてくれるようなプレーは随所に発揮されている。今回出場した小学生以外のレベルも非常に高い物がある。争いは激化していくが、そんな中で常に顔を上げ、前を見ていける選手を見極めて行きたいと思っている。次は予選リーグの中で最も手強い相手と思われる東京女子体育大学の1、2年生チーム。U-19日本代表候補選手や東京国体選手達も在籍している。次の試合までには2週間の期間がある、できるだけ良いのコンディションで挑めるようにトレーニング励んで行きたい。

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